ニッケイ新聞 2009年3月17日付け
人材派遣会社トーコー(森毅社長、本社=大阪市)は、本社や支社の社員から集めた図書、合計千二十二冊を日系四団体に寄付した。不況真っ只中、日本からの厚意が届いたのは、文協(二百二十冊)、サンパウロ大学(USP)哲学文学人間科学部日本文化研究所(三百六十冊)、ブラジル日本語センター(二百冊余り)、国際交流基金サンパウロ日本文化センター(同)のそれぞれの図書館。関係者は「嬉しい」と声を揃えている。
同社が図書を寄付するのは、昨年に引き続き二度目。第一回目は移民百周年を記念し、文協と基金に新書数百冊が贈られた。今回寄贈された図書は、社内キャンペーンとして社員に図書の寄付を呼びかけ集まった新品同様の古本。小説や辞書、絵本にまで至る。
十三日午後二時からサンパウロ市のトーコーブラジル事務所で贈呈式が行われ、長谷喜八郎文協事務局主任、織田順子USP同所長、丹羽義和日語センター事務局長、山下剛毅基金所長補佐、トーコー職員の森山良二さん、池田シモネさんらが出席した。
森山さんは、「日本でこれだけの本が集まり皆さんに届けることができて大変嬉しい。日本語を勉強中の人などにも幅広く活用してもらいたい」と述べた。
「職員の方、一人ひとりが寄付してくれた本だと考えると、温かい気持ちが伝わってくる」と丹羽・日語センター事務局長。日本語教育に関する本を中心に受け取った同センターだが、「図書室にある本は古いものが多かったので、大変ありがたい」と感謝を表す。
織田USP日文研所長は、「企業からのこういった寄付は今まであまりなく、新しい発想でとても嬉しいです。生徒らにも活用してもらいたい」と期待を語った。
文協、USP、日語センター、基金の図書館はすべて、会員でなくてもその場で読書可能だという。