ニッケイ新聞 2009年3月14日付け
米政府西半球担当のトマス・シャノン大統領特別補佐官は十二日、国際通貨基金(IMF)や世界銀行(IBRD)を通じて、ブラジルなどの中南米地域へ国際金融の専用融資枠を設け、金融危機の特別待遇地域とする意向を表明と十三日付けエスタード紙が報じた。同構想は、四月十七日開催予定の中南米首脳会議で正式に発表されるが、オバマ大統領の意図は、中南米の指導者となって特別に贔屓したり内政干渉をする考えではないことを同補佐官は強調した。
米政府の中南米構想は、ルーラ大統領とオバマ大統領がトリニダード・トバゴ首脳会談のとき、差しで話し合うことになる。中南米各国の財政活性化の手段として、同構想は提案される見通しだ。
ホワイト・ハウスが懸念するのは、中南米が過去十年培ってきた社会福祉と政治の安定が、金融危機によって弱体化することだという。いま最も大切なことは、恐慌が失業を生み出し、社会不安と政治の混乱へ発展するのを防ぐことだ。
十四日開催の伯米首脳会談では、金融危機と危機救済法案が主要議題になると同補佐官が伝えた。ルーラ大統領がフィナンシャル・タイムスに投稿した論説「人類が求めるものは実体だ」を評価し、米大統領も同感であることを伝えた。
ルーラ大統領が訴えるのは、現実的な政治であり、国民の満足度が政治の尺度だという主張で、これはG20の声明文にも採択されるだろうと同補佐官は見ている。
米州機構(OAS)のジョゼ・M・インスルザ事務長は、OASと金融危機を要約し「中南米は楽しい夢を見ていたのに突然起され、戸惑っている」と表現した。中南米各国は対策を思案しているが、資金がない。IMFによる中南米銀行への資金援助は、干天の慈雨だと歓迎した。
オバマ大統領とガイトナー財務長官は、危機に揺れる地域経済を助け、グローバルな財政活性化を促すためIMFへの資金投入に同意した。そのためG20管理による経済活性化法案の制定を、米政府は提案した。
米政府の援助は差し水だけで、後は自力本願であることを誤解してはならないと同補佐官が釘を刺した。オバマ大統領は、中南米首脳会議のサンタクロースではないと通告した。