ニッケイ新聞 2009年3月14日付け
ゴイアス州ゴイアニアで十二日、三一歳の男性が乗っ取った小型単発機が、ショッピング・センターの駐車場に墜落、炎上と十三日付伯字紙が報じた。
クレーベル・バルボーザ・ダ・シウヴァ容疑者が、ブラジリアに近いルジアニアで、パノラマ飛行の申し込みをしたのは十二日の十六時頃。
その後、滑走直前のエアタクシー操縦士に銃を向けて降りろと命令。操縦士が降りた後は、自らが操縦し、五歳の娘と共に飛び立った。
小型機乗っ取りの報告を受けたジョビン国防相は、政府施設襲撃という最悪事態も想定、アナポリス空軍基地からミラージュ機を発進させた。
懸念をよそにゴイアニア方面に向かった小型機は、もう一機の空軍機と軍警のヘリコプターからも追跡を受けながら約二時間飛行を続けたが、その間のラジオ交信では自殺や大事件発生を匂わせる発言もあったという。
ゴイアニア上空では少なくとも半時間の低空飛行後、低空飛行で市内最大のショッピング・センター、フランボイアンテに向かった小型機は、駐車場の立ち木二本に接触。二三台の車を破損した上、小型トラックの下に潜るようにして墜落した同機は、正面入り口から一〇メートルの所で炎上した。
クレーベル容疑者と娘は即死。駐車場での被害者はなし。本当の目標はショッピング・センターそのものだったと見られているが、約五〇〇〇人の買い物客は、パニックでけが人が出ただけで済んだ。
散歩に行こうと家族に強いて出かけた同日昼過ぎには、妻と口論になった同容疑者が、消火器で妻の頭を殴ってケガをさせ、走行中の車から落とすという事件も発生。妻への暴行は初めてではないとの証言もある様だ。
同容疑者には、九日にゴイアニア近郊のアパレシーダ・デ・ゴイアニアで起きた一三歳女子強姦の嫌疑もかかっており、十三日に逮捕状発令となる予定でもあった。
スペインに住む親のすねかじりで定職もなく、ゴイアニアの小型機用クラブに足繁く通っていたという同容疑者。口論の経緯などは妻の回復後に事情聴取となるため、家庭も治められない男が周囲を巻き込んだ乗っ取り自爆か、燃料切れかなど真相はなぞのままだ。