ニッケイ新聞 2009年3月12日付け
【神戸新聞】日本で働く日系ブラジル人ら外国人を対象にした日本語教室にも不況が影を落としている。丹波では仕事の減少で帰国が相次ぎ、受講生が激減する一方、神戸では日本語を習得し就職につなげようとする受講生が急増。昨年末から三十人以上も申し込みがあった日本語教室は、ボランティアが足りなくなっている。
丹波市柏原町の日本語教室「こんにちは」は、自動車の部品工場に勤める日系ブラジル人らの受講が多い。しかし、昨年十月ごろから解雇されて帰国したり、仕事を求めて都市部へ引っ越したりし、受講生は約半分の三十五人に減ったという。
一方、神戸市東灘区の東灘日本語教室は約八十人が受講。コンビニ用弁当を作る食品工場などで働くブラジルやペルーの日系人、フィリピン人や中国人が大半を占める。
以前は長時間労働が目立ったが、最近は残業時間が減った。受講申し込みが相次ぎ、ある程度話せても字を書けない日系人が目立つという。「言葉ができないと、解雇されるかもしれないと恐れているようだ」と教室の延原臣二代表。
ほとんど日本語を話せない人もいる。三年前に来日し、カップラーメンの製造工場で派遣社員として働くブラジル人のタナカ・アドリアナ・ハルエさん(35)は「今までは話せなくても簡単に仕事が見つかったが、これから仕事を探すときは言葉ができなければ難しい」とポルトガル語で語る。
教室はボランティアが運営し、約五十人が登録。ただし主婦が多く、生徒の希望が集中する週末はやりくりが難しい。延原代表は「土、日曜にポルトガル語やスペイン語ができる人や、日本語教育の経験者に手伝ってもらえたらうれしい」と話す。(森信弘)