サンパウロ州=5日で2度目の銃器強奪=カサパヴァ市で小銃7丁=軍の内部事情知る者荷担?
ニッケイ新聞 2009年3月11日付け
サンパウロ州カサパヴァ市で八日夜、陸軍の兵営が襲われ七丁の小銃強奪と十日付伯字紙が報じた。五日夜のリベイロン・ピーレス市での二二丁の小銃と八九丁の拳銃強奪事件に続く事件に、軍や警察関連施設の安全管理のあり方が問われている。
リベイロン・ピーレスの事件は、国内でも最大の銃器や弾薬の製造所であるCBC敷地内にある射撃訓練所(CTT)が襲われたもの。CBC裏手の農園から入り込んだ犯人達は、武器も持たずにいた警備員を制圧し、金庫や棚の銃器を強奪。
現場に駆けつけた州の保安局長が、警備体制に問題ありと指摘したことは七日付伯字紙が報じたが、金庫の扉は一年近く壊れたままと十日付エスタード紙。襲撃犯は一三~一七人だったという。
一方、カサパヴァの事件は、兵営裏手の鉄条網を壊した後、三・五メートルの塀を越えた少なくとも五人の犯人が、兵営を巡回中の当直兵一人を制圧。その後、休憩所にいた六人も制圧され、一人が殴られ負傷した。
カサパヴァでは、その他の銃器の保管庫は荒らされず、小銃だけが持ち去られた上、兵士の交替の時間を狙うなど、内部事情に通じた者の参加または情報漏洩の可能性も指摘されている。
ブラジルでは一八~二一歳の男子には兵役義務があるため、カサパヴァの兵営でも毎年二〇〇人程度の青年が入隊。昨年十二月には、麻薬密売協力のかどで何人かが除隊されたという。
CTTの警備は、サンパウロ州交通局なども巻き込む贈収賄事件に関与したと見られている退役警官ら創設の会社によって行われていたともいうが、二件の銃器強奪事件ならびに除隊者と事件の関係などは今後の捜査待ち。
双方の事件では、二四〇人と二〇〇人が繰り出して犯人捜索と銃器回収に当ったが、九日現在、CTT絡みで銃器三丁を回収したのみだという。
警察や軍の関連施設からの銃器類強奪事件の背景には、銃所持規制強化による銃器価格高騰なども関係とは十日付フォーリャ紙。国外からの銃器の不法流入阻止が困難なことに加え、連続の銃器強奪で、犯罪組織の重装備化と共に、公的組織の安全管理体制に大いなる警鐘が鳴らされている。