ニッケイ新聞 2009年3月10日付け
税務管理院(IBPT)は七日、九千九百二十五社で〇六年から〇八年の会計監査を行ったところ、昨年の脱税額が二千二億九千万レアルと発表したことを九日付けフォーリャ紙が報じた。脱税企業は一兆三千二百億レアルの所得を隠し、連邦政府や州、市への申告を怠った。脱税額が最も多いのは工業、商業、サービス業の順。最も多い脱税は、社会保障院の厚生福利引当金とICMS(流通サービス税)、所得税。脱税の理由は、税収がGDP(国内総生産)の三六・五%を占めたという重税にあるようだ。
脱税額二千二億九千万レアルは、今年度国家予算の三二%に相当する。監査を行った企業は約一万社、そのうち二六・八四%が脱税した。過去では〇五年の二九・四五%が、最も多かった。
脱税額は工業が、全体の三〇・七七%を占める。商業は二九・〇二%。サービス業が二四・二二%。ICMSの脱税防止対策として先払い制が、取り入れられた。サービス業には、控除の増額が行われた。
脱税の常習犯は零細小企業で、六四・六五%が行っている。続いて中企業の四九・〇五%、大企業の二六・七八%。
IBPTの計算では工業の脱税額が、七百八十七億七千万レアル。商業が七百四十一億五千万レアル。サービス業は八十四億三千万レアル。通信やエネルギー、水道の脱税額が五十五億九千万レアル。運輸が四十六億七千万レアル。ゼネコンが三十九億六千万レアル。その他サービスが二百四十七億千万レアル。
脱税の最大手口は、伝票の未発行または半分発行。一枚の伝票を何度も使ったり、捏造伝票、重複伝票、違法贈与など。他にも伝票の不正使用法は多数ある。
IBPTの概算でブラジルの脱税企業を〇九年、二五・〇五%として亜国やペルー、エクアドルが各三〇%、メキシコが三五%、ボリビアやベネズエラが四〇%。ラテン・アメリカ諸国の中で、ブラジルは少ない方。チリの一五%に、ブラジルは五年で追いつくという。先進国の七%には、遠く及ばないが。
脱税の原因は、重税と取り締まりの緩慢さにありそうだ。企業は生き残るため、債務不履行から逃れるか脱税に走るかだ。納税を選んで、債務不履行に甘んじるか、課税の不当性で提訴する企業もある。零細小企業にとって価格競争で勝つには、脱税かハイテクしかない。