ニッケイ新聞 2009年3月5日付け
米政府当局は二月二十七日、サンパウロ市のPCC(首都第一コマンド)とリオデジャネイロ市のCV(赤色コマンド)犯罪組織が、国際的に組織を広げ強化中とする報告書を発表と四日付けフォーリャ紙が報じた。同報告書によれば、この二組織はコロンビアやメキシコの犯罪組織に並行して、ボリビアやパラグアイからポルトガルに販売中継拠点を築いた可能性があるという。しかし、ブラジルの当局者はポルトガル進出説を疑問視している。
ブラジルの二大犯罪組織は、生産拠点のボリビアやパラグアイと販売拠点のポルトガルへと国際網を広げたと、米政府の麻薬白書は発表。また両組織は、コロンビアやメキシコの麻薬組織とも連携を強めたという。
国外での取引収益は、武器の購入や大都市のスラム街コントロールの費用に当てる。ポルトガルに拠点を築いたのは、EUでの市場開拓と現地での組織結成が目的と白書は結論付けている。
ポルトガル紙「ジアリオ・デ・ノチシア」と「コレイオ・ダ・マニャン」が、同犯罪組織にPCP(ポルトガル第一コマンド)と命名し、リスボン近郊のテージュ川南岸に居住するブラジル移民集団地に寄生と報じたことを白書が指摘した。
PCPの中心は、南リスボンのセットゥバルで金細工人を殺害したエジバルド・ロドリゲス容疑者と、フォルタレーザ中銀から一億六千五百万レアルを強奪し逃走中のモイゼス・T・シウヴァ容疑者の二人と連警は見ている。
ポルトガル警察は、PCPの存在や容疑者の動向には触れていない。同地の米大使館は、ポルトガルをアフリカ西海岸の国々に次ぐアンデス山系産の麻薬中継地とみなし、EUへの発送拠点と見ている。
麻薬はボリビアからブラジルへ入り、マット・グロッソ州や南マット・グロッソ州、パラナ州などで武器弾薬と取引されたり、他州を経て国外へ出荷されたりする。同地域では武器取引が、白昼堂々と行われると白書が報告している。
カンポ・グランデの連邦地裁は、PCCがパラグアイで、麻薬の輸送や拉致、殺人事件を多数起していることを認めた。また国境地帯にPCCが多数の大農場を有し、密かに麻薬の集荷と発送を行っているのを連警は知っている。
白書では、ブラジルを世界でも有数の麻薬王国と位置付ける。政府の否定に関わらず米政府は、伯亜パラグアイの三カ国接点をヒズボラやハマスなどテロ資金の調達拠点と見ている。シウダ・デレステのガレリア・パジェーやカーザ・ハムゼは、テロ資金で潤う商店だと麻薬白書がいう。