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サンパウロ市=ちっとも進まぬ洪水対策=承認後13年経て未着手も=金はあっても机上の空論

ニッケイ新聞 2009年3月3日付け

 頻繁に洪水を繰り返すサンパウロ市ポンペイア地区の市街化計画は、九五年に承認後も未着手と二月二十八日付フォーリャ紙。
 問題のポンペイア地区(アグア・ブランカ市街化計画対象地域)は、〇八年十二月五日付エスタード紙や同月二十四、二十五日付フォーリャ紙、二月二十七日付フォーリャ紙などの洪水多発地区リストに繰り返し顔を出す。これは、事ある毎に水が出ることを意味し、市の洪水対策が進まないことの証拠だ。
 二十八日付フォーリャ紙では、同地区の市街化計画が進まないのは、資金不足故ではないというから、問題の根は深い。
 開業約一年のポンペイアのショッピング・ブルボンでは、強い雨が降る度に急に水位が上がって陸の孤島と化すため、雨の日には客が激減するというほど。繰り返す洪水で地盤も緩み、あちこちに穴が開いては塞ぐ工事を繰り返す他、住民や商業関係などにも多大な被害が出続けているのに、市役所の対応は遅い。
 根本的な問題の一つとして挙げられるのは政権交代時の継続性のなさ。特に俯瞰的かつ長期的な計画が必要とされるはずの市街化計画などでは、政権交代時に継続性がないというのは致命的だ。
 また、必要に応じた計画立案や工事施工には、専門業者を置く必要があるという声も、俯瞰性をもった事業の効率的立案や継続性と関係がある。
 住民達が訴え、議会でも承認済みのアグア・ブランカ市街化計画が、一三年を経ても、確定した青写真さえなく、未だに机上の空論という現状。 市民生活の改善や地域の発展に寄与することがわかっており、サンパウロ市ではアグア・ブランカ、セントロなど四つの市街化計画実行に必要な資金を確保していながら、実際の対策は未だ計画の域を出ていない。これは、政府の怠慢や実行力のない証拠といわれても無理はない。
 市立校生徒への粉ミルクや制服、学用品キットまで宅配させるなど、諸活動の外注化が目立つカサビ政権。使うべき資金をしまい込み、市民を泣かせたままでは、交通対策で恩師につけられた赤点の恥を、市街化計画、治水・洪水対策でも繰り返すことになりそうだ。