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エンブラエル=大統領に事情説明=見直しも新規採用もない

ニッケイ新聞 2009年2月27日付け

 エンブラエルのフレデリコ・クラード社長は二十五日、同社の四千二百人に上る大量解雇を説明するためルーラ大統領と会合したと二十六日付けフォーリャ紙が報じた。
 大統領の要望は解雇の見直しであったが、同社長は、解雇は国際市場での航空機需要三〇%減少に前倒し対応したと大統領に説明。来る二~三年は新規採用もないことを通告し、同公団を取り巻く経済状況や航空機の国際市場は、楽観できないことを確認した。
 大統領は解雇の見直しを求めることを諦めたが、解雇撤回がならないまでも、失業者の社会福祉や保健プランの十二カ月間支払いを要請した。
 同公団への航空機発注は、九三%が輸出向けの輸出依存企業だ。同公団は経営の鏡とされる模範企業であったため、突然の大量解雇は政府や関係者に衝撃となった。
 集団休暇などで産業界へのショックを和らげられなかったかとの質問には、エンブラエルの立場がそれを許さないという。集団休暇は、近い将来に回復の見込みがあるときに可能なものと弁明した。
 航空機業界は、一度落ち込むと回復に三年かかる。同公団の問題は、経営上の問題でもブラジル事情でもない。金融危機が引き起こしたのだ。
 社会開発銀行(BNDES)が資金援助をしても、雇用を創出しない。BNDES融資は同公団への直接融資ではなく、製作した航空機の販売融資で、労組や政府が考えるような、金が全てを解決するものではない。
 前以って大統領に事情を説明するべきであったという件は、直属の上司である財務相やジョルジェ産業開発相には連絡した。大統領や労組は「寝耳に水」であったとは誤報だ、と反論した。
 BNDESのコウチニョ総裁も「大統領や労組はエンブラエルの特殊性を理解していない。国際的金融危機を理解しないと、航空機事情も分からない」とクラード社長を弁護した。