ニッケイ新聞 2009年2月19日付け
第一生命企画の「サラリーマン川柳」は悲哀に満ちたお父さんたちの口から、ため息とともに漏れる小さな叫びだ。「『オレオレに 亭主と知りつつ 電話切る』反抗妻」「『まだ寝てる 帰ってみたら まだ寝てる』遠くの我家」などが記者の好みだが、家庭や仕事でのやるせなさをユーモアで吹き飛ばす逞しさに希望も感じる。今年の入選作は「子供らに また教えてる 総理の名」。一億総首肯の一句だが、目をコロニアに転じてみるとどうか▼百周年協会の理事長でもあった上原会長、会計・常任理事らはさておき、七人の副会長を挙げてみよう。山下譲二、多羅間俊彦、栢野定雄、木多喜八郎、重田エルゾ、田中エミリア、白石マルセロ―。どうだろうか。文協が百周年の喧騒の外にいたこともあるが、この二年間、ほぼ気配を消した異能に驚く。「何故、私がなっているのか…」とつぶやき、選挙シャッパの調整役となったことを自ら証明する副会長も。ちなみに、文協担当である記者もこの七人をソラで思い出せなかった。勉強不足―と言われれば、返す言葉がないが▼しかし、俄然存在感を放ち始めたのが栢野副会長。今回の選挙で、アンチ体制派で戦後一世の代表ともいえる谷広海氏との連衡が見えてきた。文協の空気を支配してきた渡部和夫評議員長の引退を円滑にするための駆け引きとの見方もあり、今回の選挙はなかなかに奥が深い。この両派が組めば、勢いを増している小川彰夫氏も厳しい戦いを強いられることになりそうだ。最後に一句。「蚊帳の(栢野)外 谷に流れぬ 小川かな」 (剛)