ニッケイ新聞 2009年2月18日付け
カーニバル直前のサンパウロ市25・デ・マルソ街(以下、25)は一際の賑わいで、今年のカーニバルも五%の売上増を期待と十五日付アゴーラ紙が報じたが、八日付エスタード紙は、25やブラス区がパラグアイ化しているとの警告も報じている。
例年より人出減少の見方をよそに、カーニバル前に最後の買い込みに走る客への対応のため営業時間延長をしている店もある25やブラス区の賑わいは、カーニバルやナタール(クリスマス)前だけでなく、国内はおろかアンゴラからの買い物客も引きを切らぬと報じられたこともあった。
ただ、この賑わいの裏には、海賊版(模造品、コピー商品)や密輸品の横行もあるのが問題で、ブラス区の暁市(四時~八時のカメローによる売買)は、正規の商店街の売上をも脅かしている。
この暁市は内外にも知られ、午前三時には、全国からのバスが駐車場スペースの空き待ちで列をなす。ブラス区乗り入れバスは月九〇〇〇台、25が六〇〇台というが、ブラス区で二~七時間買い物後に25に移動する客も多く、出費は一人平均二〇〇〇レアル。
サンパウロ市セントロが月々一〇億レアルの金が動く大市場と化したのは、フォス・ド・イグアスでの密輸品取締り強化の影響が大きいが、密輸には、麻薬同様、国境に近いパラグアイの市経由の新ルートも開拓され、その販路も絶えることがない。
また、海賊版商品の国内生産も増えており、ミナス州ノヴァ・セラーナはスポーツ・シューズ、パラナ州アプカラーナは帽子、ゴイアス州ジャラグアはジーンズや有名メーカーのシャツなどの模造品産地だという。
ブラス区では暁市に対抗し一般商店も五時開店というが、衣類や玩具以外に多い海賊版はCDやDVD。コンピューター・ソフト海賊版は市場流通量の五九%、ゲームは九五%を占めるといい、国が蒙る税収損失は三〇〇億レアル。ネットでの医薬品販売で、〇八年の違法薬品押収量は〇六年の倍の一二〇トンとの国家衛生監督庁報告もある。
海賊版や密輸品売買は違法な上、低品質で保証がないことなどを認識しないと、命の危険も含め、大きな損失を蒙るとの自覚も必要だ。