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最低賃金調整=国内市場に210億レアルを注入=低所得層は収入向上=食品中心に経済活性化へ=北東部などで特に好影響

ニッケイ新聞 2009年2月17日付け

 労働省は十四日、二月の最低賃金一二・〇五%(インフレ率プラス六・四%)調整により四百十五レアルから四百六十五レアルへ引き上げられ、国内市場に二百十億レアルが注入されることで、インフレの緩和と所得向上の影響が食品を始めとする業種の活性化に役立つと発表したことを十六日付けフォーリャ紙が報じた。最低賃金受給者約四千三百万人が特に多い北東部や北部、中央西部の地域経済は、昇給サイクルが懸念される現在、朗報になると見ている。
 ブラジル有数の経済コンサルタント会社LCAのファビオ・ロマン氏によれば、最低賃金の調整とインフレの鎮静化で、食品や衣料、靴などの半耐久財と洗剤や衛生製品などの非耐久財市場は活気を呼び、雇用創出にも供する。さらに最低賃金調整による影響は、北東部や北部、中央西部では顕著に表れるという。
 十月から十二月の工業生産が全般に大幅後退したが、食品は僅か〇・七%減に留まり、最少の落ち込みであった。低所得者が多く占める地域は、工業生産が六六%食品関係なので、落ち込みの影響は少なかった。
 IBGE(ブラジル地理統計院)のイザベラ・ヌーネス氏は「〇八年十二月の工業は最悪であったが、非耐久財は低所得層によって支えられた」と分析する。同期の工業生産が昨年同月比一四・五%減に落ち込んだ時、低所得層の購買に左右される製薬は、一一・七%増と伸びている。
 雇用市場でも最低賃金の調整は、その年における経済の動向を決める重要な要因だ。最低賃金は不況防止にはならないが、経済の防振装置の役目は果たしている。
 LCAのロマン氏によれば、地域で見ると、半耐久財と非耐久財工業が集中する北東地方では、十二月の工業不振の影響は少なかった。全国で一四・五%減というとき、ペルナンブッコ州は六・二%減、セアラー州は三・九%減、ゴイアス州は一・一%増だという。
 食品工業や金融危機の影響を受けなかったその他の業種は、最低賃金調整のお陰で〇九年に経済成長が期待される。
 新最低賃金は、低所得層にとって実質所得の向上につながる。サービス部門の雇用創出には及ばないが、工業にも確実にインパクトをもたらし、国内六大都市に注目すべき動きがある。
 大サンパウロ市圏の工業分野の雇用に関し、ロマン氏は「昨年第4四半期に底打ちし、今年から上昇している」と解説した。