ニッケイ新聞 2009年2月14日付け
ブラジル銀行と連邦貯蓄銀行(カイシャ・エコノミカ)は、景気後退による債務不履行の増加に備えた貸倒れ引当金を、〇八年末現在で二十三億三千五百万レアル増額したと十三日付けフォーリャ紙が報じた。公立銀行は金融危機の影響が顕著となった〇八年第4四半期、金融危機対策の一環として、融資増額と共に、営業益の一部を債務損失保証のための引当金へ繰り込むことを決定した。都市銀行は当時、融資を減らし危機に備えた引当金へ回し、公立銀行とは反対の方策を取っていた。
同二行は九月から、資金不足と過重融資で資金繰りに苦しむ中小銀行から債権を購入し、流通量枯渇の影響緩和に努めた。都市銀行は当時、市場の資金不足に加え貸し渋りを行ったため、政府は流通量の補充政策として債権購入を行った。
〇九年に入って政府は、公立銀行が貸し付け金利引き下げで業界をリードするよう指導をした。一方で都市銀行は昨年十月から十二月をピークに、融資を引き締め、引当金の確保に専念していると中央銀行が察知した。
ブラデスコやサンタンデル銀行が発表した決算書を見ると、貸し出しを減らし、かつ債務損失保証への引当金を増額している。金融危機はさらに悪化する見通しで、各行は大型の損失回避に精を出したようだ。
同貯蓄銀行の個人向け貸付の債務不履行(九十日以上)は昨年六月現在で五・四%だったが、同年末には五・九%に跳ね上がっており、法人向けに関しても予断を許さない状況だ。
ブラデスコの引当金増額は五億九千七百万レアル、サンタンデルが一億七千万レアル。カイシャは六億三千五百万レアル。伯銀は十七億レアル。どこも昨年同期比で倍額を引当金に回し、万が一に備えている。
米国発恐慌は、ブラジルの本土攻撃には至らなかった。危機が叫ばれる中で同行は〇八年も六二%の利益を上げた、とカイシャは報告。伯銀は〇八年決算が終わるまで、危機の影響は分からない。
同貯蓄銀行のマルコス・ヴァスコンセーロス副頭取は、金融危機の直接の影響はまだ受けていないと前置きながら、「将来の変化に備えて貸倒れ引当金を増やしている」と認めた。
今後、企業倒産や個人債務不履行などが増加する可能性は否定できず、石橋を叩きながらの銀行運営はまだ続きそうだ。