サンパウロ市のゴミ再生率低下?=価格変動や業者の資金難で=カタドールには死活問題
ニッケイ新聞 2009年2月14日付け
環境問題に関心を持つ人が増え、リサイクル、ゴミ再生利用といった考えも定着してきたのに、サンパウロ市では、アパートなどの分別ゴミ回収一部停止など、リサイクルシステムに金融危機の影響が出始めたと十三日付エスタード紙が報じた。
〇八年九月二十六日付フォーリャ紙によれば、サンパウロ市で回収される家庭ゴミは一日九五〇〇トン。そのうち、再生利用の可能なゴミは一九二〇トンだが、実際に分別ゴミとして回収されるのは一日一一四トン。わずか六%が再生資源として利用されているに過ぎない。
ところが、本来なら、資源の再利用の促進や雇用確保が必要なこの時、十月までは一日三〇〇トンを回収していた最大手の分別ゴミ回収業者などの資金繰り悪化。同社が担当の一五〇のアパート中、一〇〇のアパートで回収作業が中止された。
例えば、アパートの住民を説得しゴミの分別回収導入に成功した歯科医のエドゥアルド・ルイスさん。自腹で二〇〇レアルを払って購入したゴミ分類用の大型袋まで設置し、週に一度の分別回収開始を喜んでいたが、一月からは回収停止となり、分別ゴミも一般ゴミと一緒にされ始めた上、資金繰り悪化による廃業や従業員削減は他社でも同様で、回収再開の目処が立たないという。
また、サンパウロ市での金融危機の影響は、ゴミ回収業者の資金繰り悪化に止まらず、コモディティ価格低下に伴うゴミ回収者(カタドール)の収入減少としても表れてきた。
例えば、一キロの古新聞や古雑誌の買取価格は、〇・二二レアルが〇・〇二レアルに低下。一日中働いて集めたダンボール一〇九キロを回収所に持ち込んだジョゼ・ミゲルさんは、受取った八・七五レアルを見つめ、「どうやって家族を養っていけというんだ」と絶句。
サンパウロ市のゴミについては、イビラプエラ公園の清掃業者が経営不振で業務不履行という問題も起きている。建築現場の廃材なども含めたゴミは一日一万五六〇〇トンでゴミ捨て場は飽和状態、土壌汚染などの問題もあり、本来は、ゴミの削減や再利用に向けた取組みがもっと推進されるべき時期だ。金融危機が思わぬところに悪影響を与えている。