ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 解雇抑止=労働時間短縮と減俸を検討=労働契約に融通性=INSS減額とFGTS放出=12月だけで65万人が失職

解雇抑止=労働時間短縮と減俸を検討=労働契約に融通性=INSS減額とFGTS放出=12月だけで65万人が失職

ニッケイ新聞 2009年2月12日付け

 政府は一月も解雇攻勢が衰えないことで十日、労働時間の短縮と減俸、社会保障院引当金の暫定減額によって人員整理を押し止める労使交渉を検討と十一日付けフォーリャ紙が報じた。さらに政府は労働者の納得を得るため、減俸による所得の低減を、FGTS(勤続年限保証基金)の引き出しで補給する考えだ。ルーラ大統領の了解を得た同案は、Fiesp(サンパウロ州工業連盟)の合意とともに財務省で最終のつめに入った。

 最終連絡会議には、マンテガ財務相とルッピ労働相、ドゥルシ総務長官、アッピ担当官が出席。十二月だけで正規雇用者総数が六十五万四千人減少との公式報告が政府に入っている。
 労相の見込みでは三月、雇用市場は好転するらしい。しかし、十二月の工業生産後退が予想以上に大きく、緊急策の導入に至ったという。
 労使交渉の最終原案は、大統領の承認を得なければならない。政府が社会保障院引当金の減額を認め、労働者が減俸をのんで生産コストが下がる代償として、企業は雇用を保証するというもの。
 労働者は同案の適用中、FGTSから毎月引き出し、減俸分生活費の足しにする。政府の考えでは、この程度の変更のためなら労働法の改正は不要と見ている。政府はさらに、解雇となった場合に失業保険の付与期間も増やす意向だ。
 ただし、CUT(統一労組)は即時、同案に反対の意向を表明した。
 サンパウロ州では六十六社の金属工四万六百人が、雇用事情悪化のために融通性を持たせた労働契約を容認したほか、六百社余りが同様の契約を労組と協議中とされる。
 IBGE(ブラジル地理統計院)が九日に発表した統計によれば、十二月の工業部門の雇用者総数は前月比で一・八%減となり、過去八年で最少を記録した。これで三カ月間、雇用は続落し、経済混乱の傷跡をさらした。
 ロウセフ官房長官は、企業は船体を軽くするため必要以上に荷を海中へ投げていると批判。同長官はPT(労働者党)幹部会議にも出席し、雇用創出と雇用安定に努力する企業の優遇政策を打ち出すべきだと訴えた。
 ルッピ労相は、これら企業に税制恩典や融資優先の方針を打ち出すことを提案。財務省は同案が現実的に無理だと難色を示した。官房長官は「ここ一番に突撃できない公立銀行は、ムダ飯食い兵だから売れ」と発言。公立銀行側は、中銀の高金利政策がガンだと主張し、責任のなすり合いになっている。