一流選手への登竜門とされる19歳以下を対象としたサッカー大会『コパ・サンパウロ』に参戦している柏レイソルが9日、グループ最終戦となるアウト・エスポルテとの試合に大勝し、決勝トーナメント進出〃ほぼ決定〃との下馬評だ。12日にグループ戦が終わるまで正式には未定だが、もし実現すれば外国勢としては初の快挙となる。ブラジルW杯の年に、日本勢の勢いの一端を見せつける幸先の良い結果となりそうだ。進出なら、来週から始まる決勝トーナメントでは、強豪揃いの中での勝ち抜き戦となるため、決勝が行われるサンパウロ市誕生日の25日まで一瞬たりとも気を抜けない日程が続く。
下平隆宏監督は、7日間で3試合という厳しいスケジュールでの予選を戦い抜いたチームを、「どの対戦も簡単なものではなかったが、一戦一戦自信を深めていく事が出来た」と振り返り、「決勝トーナメントではさらなる強豪との戦いが控える。柏レイソルの名に恥じない戦いを続けたい」と次なるステージに向けて気を引き締めた。
9日の試合は、14分に主将を務める中谷のゴールで先制すると、FW大島の3試合連続ゴールなどで突き放し、前半を3対0で終える。後半立ち上がりにカウンターから失点するものの、主導権は渡さずさらに中山、会津選手が2点を加え、5対1で圧勝した。
細かくパスを繋ぎ、連動した動きを見せる柏チームは観衆を魅了した。「グローボ・エスポルテ」のネット版によれば、ブラジル代表のネイマール選手が所属する華麗なパスサッカーで有名なスペインのチームに喩え、観客席からは「1・2・3、バルセロナ・ジャポネス!」との歓声が響き渡ったという。
この結果により、柏は3試合で2勝1分の勝ち点7、得失点差プラス5点でのW組2位という好成績で予選を終えた。もし、あと2得点を加えていたら、強豪サンパウロFCを抑えて1位通過を果たしていた。
グループ2位で決勝トーナメントに進めるのは、全26組中上位6チーム。2位チームが柏の勝ち点を上回る可能性を残しているグループは6つあり、12日にグループリーグが終わるまでは正式な結果は出ない。しかし、その6グループの試合全てが同時に条件を満たす可能性はかなり低く、柏の決勝トーナメント進出はほぼ決定的と見られる。
選手からのコメント
3試合連続得点と波にのるFW大島康樹は、「グループ最終戦、絶対勝たなくてはいけない状況の中で得点を決めることができたことは良かった」と、胸をなでおろすとともに「ブラジル人DFは、足の伸びが日本人とは違い、パスが通ると思っても通らない場合も多い。体の使い方やボールの置き方がうまく、勉強になっている」との印象を語った。
中盤を操るMF小林祐介も「(アウト・エスポルテ戦で)自分のミスが失点に繋がってしまったことは反省。試合の中で、個人でかなわないところがあっても、グループで通用している部分は多い」と組織力の高さを強みに挙げた。
チームをまとめあげる主将、中谷進之介は「全体的にレイソルのサッカーを出し切れていない中、勝利することができたのは大きい」と自信を深める一方で、「モチベーションを大きく持って臨めたサンパウロ戦に対し、残り2試合は、自分たちのテンポに相手を合わせることができなかった。上位進出に向け、もっと自分たちのサッカーを続けられることが重要になる」とさらに〃レイソル色〃を出すことに専心する心構えだ。