ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

世界貿易機関=保護排除討論始まる=「産業保護は悪性伝染病」

ニッケイ新聞 2009年2月11日付け

 世界貿易機関(WTO)は九日、先進諸国が新しいタイプの保護システムを内包した金融危機救済法案を携えて開幕と十日付けジアリオ・デ・コメルシオ紙が報じた。
 ブラジルのアゼヴェードWTO大使は参加百五十三カ国の代表を前に、国際貿易を歪めるいかなる法案にも挑戦する用意があることを宣言した。金融危機による国内の経済混乱を収拾するため、先進各国は新たな保護システムを編み出し、法案の中に潜ませている。
 同大使は「それは伝染性の強い悪質なもので、新たな貿易戦争を引き起こす。関税障壁は過去のもの。各国が打ち出した国内産業の救済政策が保護政策に相当し、市場を歪める」と主張する。
 日欧米だけで、不況対策として三兆ドルが奨励金や助成金の形で投じられた。新興国側は、これが一種の保護制度に当たるもので、経済政策の中に隠蔽した欺瞞行為であると糾弾する。
 EU代表は、新興国の見解を否認した。奨励金は、WTOが定めた違法行為でも歪曲行為でもないと反発した。「国際市場を歪めるのではなく、国内の倒産に瀕する企業を助けただけ」と抗弁をした。
 「先進国の健全な経済が、新興国からの輸入を促進し新興国経済を助ける」とEU代表は主張。ブラジルのアゼヴェード大使が「それは詭弁であり、言葉の遊びに過ぎない」と非難した。
 「そのような理屈は通らないことをドーハ・ラウンドで数年も議論したが、違反国は何も分かっていない。G20でも違法行為として禁じたが、それを敢えて続行するのは、悪質な伝染性の病原菌に冒されているのだ」
 保護制度は梅毒のような病的制度というのが、ブラジル外務省の見解だ。同制度は公正な競争を蝕み、保護制度に守られた製品がダンピングを行う二つの悪弊をつくる。
 米国代表は、悪弊を認識している。ただ国内ロビーの圧力をどう説得するかに掛かっている。今回の金融危機を機会に悪弊の矯正を考えている。米国の国産優先条項も保護に抵触するが、交換条件で譲歩する考えのようだ。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button