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老舗旅行社「ブラスビア」が今月末で幕=石井社長「58年お世話になりました」

ニッケイ新聞 2009年2月10日付け

 コチア産組や南伯産組の後押しを受け、一九五一年に開業したコロニア旅行社の老舗であるブラスビア旅行社が今月末で幕を閉じるにあたり、石井久順社長(71)が九日来社、「日系コロニアの皆様には、大変お世話になりました」とあいさつを行った。
 「百周年も終わり、この機会に一度幕を引きたい。経済危機や円高のため、例年この時期には、三十人を下らない訪日観光客が今年は九人のみ。これからはもっと厳しくなると感じ、断腸の思いで閉鎖に踏み切った」と説明する。
 同旅行社は、農協組織の強化支援を主軸に置き、コチア産組、南伯産組、サンパウロ中央会の役員百八十七人の訪日、ブラジル4Hクラブ創立二十周年記念として日本の全国大会への参加、コチア青年二世訪日団結成などの企画を行ってきた。
 九四年に社長に就任した石井社長は、日本の政財界とのパイプを持ち、日伯の経済・文化交流にも貢献。昨年の百周年では、平野運平(静岡県掛川市)、上塚周平(熊本市城南町)の生誕地訪問ツアーなど他の旅行社にない企画を実施、好評を博している。
 百周年を機に来伯した全国農業協同組合中央会の宮田勇会長とも懇意で日伯のアグロビジネスに関する懇談会を開くなどし、「生活協同組合(COOP)のようなものが設立できれば」とのアイデアを披露、コロニア農業界のこれからの発展を願いながらも、「半年ほど静養し、その後何らかの形でお手伝いしたい」と話した。