ニッケイ新聞 2009年2月3日付け
中央銀行のメイレーレス総裁が二月一日、「ブラジルの金融市場における流通枯渇問題は解決」とダヴォス経済フォーラムで言明と二日付けフォーリャ紙が報じた。同総裁によれば、国際金融が引き締めを行ったために、新興国が自国内での資金調達を余儀なくされ、引き起こされた流通量枯渇だと訴えた。ブラジルの金融市場は正常化しつつあり、これからは資金調達で難儀することがないが、小銀行が伸びられる時代は終わったと述べた。
金融恐慌といわれる現在の混乱から、ブラジルは真っ先に抜け出すであろうと同総裁は声明を発表した。〇九年ブラジルの経済成長率は、〇八年より劣るが、世界平均より優ると宣言した。
〇九年の経済動向が懸念される中、国際金融の集中化が今後憂慮される国際的問題であると同総裁は指摘。即時解決すべきことは、新興国を地元での資金調達へ追い込んだ国際金融の貸し渋りだと糾弾した。
国際金融の集中化は解決に多くの時間を要するが、国際金融は過去五年、米国内重視と国際重視の二傾向があった。そこへ米政府の国内重視圧力がかかり、新興国が後回しにされたと見る。
そこでブラジルの中小銀行は〇八年九、十月に比べ、財政状況は強制預託金の減額で好転したが、将来の保証はない。銀行の再編は急速に進んでいる。米国で手形割引が規格化され、銀行の営業益は圧縮された。
米投資家の損失補填が解決されるまで、国際金融の資金は当てにできない。しかし、ブラジルは国内消費市場を持っている。ブラジルは、先進国ほど輸出に頼っていない。GDP(国内総生産)に占める輸出の割合は少ない。〇八年は金融危機に揺さぶられたに関わらず、GDPは左程下がらなかった。これは国内消費市場のお陰だ。
そこで問題なのは、調達金利に利ざやを上乗せするスプレッド金利。銀行が顧客に要求する金利だが、高金利の元凶として話題になったことで、銀行が自粛するようになると中銀は見る。
輸出金融についてはスプレッドによる業者との摩擦を避けるため、BNDES(社会開発銀行)経由で融資を行うと総裁はいう。ブラジルの輸出金融は民間銀行よりも公立銀行で必要な資金を捻出するように、中銀が用立てすると述べた。
問題は、輸出企業が抱える国外債務にある。債務契約の更新に必要な資金を、国内で用立てしなければならないからだ。そこでスプレッド金利が、また出てくる。