ニッケイ新聞 2009年1月31日付け
法定アマゾン内パラー州で世界社会フォーラム開催中の二十八日、二〇〇〇~〇五年の五年でアマゾンの森林面積は、ベネズエラ一国分に相当する八七万五〇〇〇平方キロ(一七%)を喪失との国連環境計画(Pnuma)報告が発表されたと、三十日付BBCブラジルサイトが報道。
国連はブラジルと他の七カ国の責任としていることからいくと、アマゾン全域での数字だが、三十日付エスタード紙には、「法定アマゾンは既に七二万平方キロを喪失」との記載もある。
一方、二十三日のアジェンシア・ブラジルやG1サイトによると、アマゾン人間・環境院(Imazon)集計では、二〇〇八年八~十二月の森林伐採面積は六三五平方キロで、前年同期の三四三三平方キロに比べ、八二%の減少。Imazonでは、雲に覆われていた地域が広く、実際の伐採面積はもっと多いはずだと述べており、正確な実態ではないが、パラー州カラジャス地方では、製鉄業界の減産で炭の消費が減り、伐採面積も減少など、金融危機の影響も出ているという。
雨期の伐採減少などの季節要因に金融危機が重なった伐採減少は、乱伐減少と言い切れない上、一九六五年から法定アマゾン内に住み、地域の動きを間近に見てきたシングー司教区司教の「今のペースで伐採が進めばアマゾンは三〇年も持たない」との警告もある。
二十九日エスタード紙によれば、同司教は先住民保護区などの特別地域での森林伐採は少ないことも指摘しているが、〇八年末に政府が発表した温暖化対策は、法定アマゾンの伐採削減目標は提示したが、保護区の拡大や、製材や炭の生産、放牧などに変わる収入源確保など、具体的な対策への言及がない。また、法定アマゾン内の土地所有者は自然の植生を八〇%残すべしとの法令を、五〇%に変更せよとの声が出ている問題も未解決。
古い自然森より新しく植林した所の方が二酸化炭素吸収量は多いともいい、農地や牧草地を拡大せずに生産性向上を目指すなど、開発と保護・再生を考えた総合対策抜きに世界大の財産であるアマゾンの森は守れない。