ニッケイ新聞 2009年1月29日付け
二十六日のフォーリャ紙社説以来、伯字紙が連日報道する「第九回世界社会フォーラム」ベレン会議(二十七日~二月一日)が始まった。
二〇〇一年のポルト・アレグレ会議に始まったフォーラムは、資本主義とグロバリゼーションが及ぼす世界的格差拡大などの影響と問題を、民衆の目で考えようという国際運動だ。「もう一つの世界は可能だ」を合言葉に、各国の非政府組織(NGO)や非営利民間団体(NPO)、社会団体が参加し、地球規模の連帯と民主的で現実的な代替案探求を提唱している。
今回の会場はパラー連邦大学とアマゾニア農業連邦大学で、環境問題や温暖化、金融危機、貧困国の実情、アマゾン乱伐、先住民問題などがテーマ。
参加予定者は一〇万人という今会議では、恒例のデモ行進前に、ブラジルやボリビア、ペルーからの先住民の行進も。先住民らが人文字で「SOS AMAZONIA」などと訴えた様子が航空写真で公開されたりもした。
フォーラムへの熱が冷めてきたと言われる中で多くの参加者を得た今会議の推進力の一つは、皮肉なことに金融危機。
競争原理に基づく資本主義とグロバリゼーションにより、危機もまた世界大の影響を及ぼしているからで、雇用の確保や生活保証、貧困対策は会議の主要課題の一つだ。
デモ行進中も金融危機撲滅を訴える声が再三挙がったという会議には、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル、パラグアイ各国大統領も参加。二十九日にはルーラ大統領も現地入りするという。
不況対策では労組や先住民団体などからの不満の噴出は必至で、大統領の応援に一二閣僚や州内の労働者党員も参集というが、「教育や保健、貧困対策への金はないと言いつつ、金融機関や企業救済のための金は拠出」など、ルーラ政権への矛先は厳しくなりそうだ。
デモ行進中、発展途上国から〃米帝国主義〃の権化と見なされてきたマクドナルドで腹ごしらえする参加者がいるなど、一部に意識変化の表れとも取れる現象もあったが、生態系の豊かさと地球規模の環境問題の故に選ばれたベレンの地に相応しい建設的な会議となることが期待されているようだ。