ニッケイ新聞 2009年1月27日付け
ボリビアで二十五日、先住民の利益拡大などを盛り込んだ憲法改正案の是非を問う国民投票が実施された。ロイターとAP通信によると賛成が六〇%を占め、承認される見通しと二十六日付けエスタード紙が報じた。
憲法改正案は四百十一カ条からなり、その一つにモラレス大統領の再選に向けた立候補を認めることも記されている。新憲法に伴い〇九年十二月六日、大統領選が実施される。二〇一四年の再立候補は認めない。
同改正案では、スペイン語の他に先住民言語も公用語と規定した。宗教は従来のカトリックに加え、先住民の伝統宗教も教科に加える。また下院や裁判所判事、選挙高等裁の議席に、先住民枠を新設する。最高裁と連邦裁判事は、選挙で選出する。ほかに先住民裁判所も新設する。
行政区は州(県)と郡、先住民保護区に分け、財政と外交、保安、エネルギーは中央政府管轄とする。資源などの戦略的産業は、国の管理下に置く。ほかに土地の所有面積は一万ヘクタールを上限とし、非利用地は国が接収できると規定。
モラレス政権は、先住民を中心とした貧困層への農地改革を目指しているようだ。先住民が栽培するコカインの原料になるコカの葉栽培を、伝統文化として明記した。
モラレス大統領はボリビアの習慣を根本的に改革し、先住民の三原則文化を復活させるという。三原則は「盗むな」「弱虫であるな」「ウソをいうな」で、さらに反略奪主義と反植民地主義、反帝国主義を付け加えると宣言した。
国民投票は、国際監視委員二百人が参加し、平穏裡に行われた。国民支持の感触を得たモラレス大統領は直ちに、関係者を招集し、改正案第二段の立案に入ると声明を発表した。