ニッケイ新聞 2009年1月27日付け
現在進められている旧神戸移住センター改修への募金運動で、ブラジルから五百万円の大口寄付が寄せられた。寄付したのは、ヤンマー・ド・ブラジル社長、ブラジル日本商工会議所会頭などを務めた後藤隆さん(現商議所顧問、サンパウロ市)だ。
ブラジルだけでなく、世界各国へ渡った多くの移民が日本を離れる前の最後の日々を過ごした旧神戸移住センター(旧移民収容所)。
移住が終わり、老朽化した建物の改修・再整備事業は、神戸市が国、兵庫県とともに進めているもので、笠戸丸がブラジルに向けて出港してから百年目にあたる昨年四月二十八日に着工が宣言された。
工事は今年五月中の終了を予定。落成後は国際交流、在日外国人支援などの機能を備えた「神戸市立『海外移住と文化の交流センター』」として生まれ変わる。
現在行なわれている募金運動は、日伯協会の西村正理事長を委員長とする協力委員会が呼びかけているもの。寄せられた寄付は在日日系人などを対象とした教育設備などの整備に使われる予定だ。
目標額は二千万円。個人一口五十レアルから受け付けており、寄付者の氏名は改修後の建物内に記銘される。
ブラジルでも昨年末から募金活動が本格化し、今月十六日には県連が第一回目として約一万レアルを寄付したばかり。県連のほか文協や百周年協会も運動に参加している。そして今回、商議所元会頭の後藤さんから五百万円という寄付が寄せられた。
今月九日に開かれた商議所新年会の席上、ブラジル側での連絡、募金受付けなどを代行するカワサキ・ド・ブラジル社の澁谷吉雄社長が出席者へ事業を紹介し、協力を呼びかけ。その後、後藤さんが澁谷社長に連絡を取り、日伯協会を通じて寄付を行なったという。
ニッケイ新聞の取材に対し、後藤さんは、「五十年以上も当地で暮らし、公私共に日系コロニアにお世話になりました」と話し、一昨年の叙勲で旭日双光章を受章したことなどにも触れながら、「笠戸丸以来の由緒あるセンターを残すのは意義のあること。色々なお礼のつもりで再整備に少しでも協力できればと思い、寄付させていただきました」と気持ちを語った。