ニッケイ新聞 2009年1月24日付け
南麻州カンポ・グランデ市で昨年十二月二十二日、同地の百周年記念事業の目玉である「山城興順日伯市民共生センター」(Centro de Convivencia e Cidadania Nipo-Brasileira Dr.Kojun Yamaki)の開所式が行われた。この建設を推進したのは、カンポ・グランデ日伯文化体育協会(以下、日伯協会)と同沖縄県人会および同野球協会が一緒になって〇六年に設立した移民百周年委員会(マルコス・パウロ・チグマン委員長)だ。
同委員会が構想案の計画書を作成し、アンドレ・プシネリ州知事に協力要請をしていた。州政府はそれに応え、建設費用として六十万レアルを助成、さらに大坪明、橋岡ジオネ、パウロ・ドゥアルテ、ヨウシフ・ドミンゴス、ゼ・テイシェイラら四州議が議員予算枠から二十万レアルを振り分けた。
四万九千七百レアルは、同百周年委員会が地元日系社会に呼びかけて集めたものだ。最終的な資金は、合計八十五万レアル。
今回開所した日伯市民共生センターは、建築面積六百八十五・七三平方メートルのH型の建物。五つの教室をはじめ、多目的ホール、医務室、台所、食堂、食糧貯蔵室、管理人室、事務局、身体不自由者専用トイレや中庭がある。
建てられたのは、同日伯協会が六〇年代に市から購入した二十二ヘクタールの土地の一角。もともとゲートボール場、サッカーグラウンド、プール、ミニサッカー場、盆踊り広場、テニスコートなどが設置されており、日系人を中心に活用されていた。
同センターは近隣地区のチラデンテス、パノラマ、サマンバイアやアルナウド・フィゲイレドなどに住む日系高齢者に利用されることを主目的としているが、現地の一般市民にもひろく開放されている。
日帰りの老人擁護施設デイケアセンターとして利用し、医療ボランティアなどにより、週当たり一千人程度の高齢者の対応をすることが構想されている。詳細は今後、同百周年委員会が州政府と協議し、最終的に決定する予定。
センターの名前「Kojun Yamaki」は、一九六二年から十年間、同日伯協会長として大きな貢献のあった山城興順氏(二世、医師)で、同氏を顕彰する意味で名づけられた。
「MSノチシアス」サイトの昨年十二月二十日付の記事によれば、開所式にはプシネリ州知事も出席し、「日系人の寄付金は州および州都の歴史の歩みに大きな貢献をしている」と賞賛した。
同記事の中で知事は、「この建設は地域コミュニティーを支援するもので、貧しい人々に恩恵を育むもの。団体として非常に素晴らしい慈善活動だ」と評価している。
ニッケイ新聞の取材に対し、チグマン委員長は「センター所有権と運営について、日伯協会が主導して行く立場になるでしょう」と述べた。また同日伯協会の知花幸重ベルナルド会長は、「日本文化を継承するためにカンポ・グランデ日伯文化体育協会は、踊り、歌謡、料理などの文化活動を頻繁に開きたい。センターでは高齢者を中心により良い医療センターとして、敏速で安心できる診察とともに、出稼ぎ者を支援する運営をしていきたいです」と意気込みを語った。