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政策金利12.75%に引き下げ=通貨政策、抜本改革へ=高金利の元凶は国立銀行=スプレッドに行政介入か

ニッケイ新聞 2009年1月23日付け

 中央銀行通貨委員会(Copom)は二十一日、政策金利(Selic)を一%引き下げ、年一二・七五%としたことを二十二日付けエスタード紙が報じた。中央銀行は政治的圧力もあったが今後、通貨政策に融通性を持たせる意向と表明。ルーラ大統領は「〇・七五%以下の政策金利引き下げなら、自らもCopomに出席」と通告していた。また大統領は、スプレッド(利ざや)抑制にも介入する意向を表明した。
 政策金利一%の引き下げは、二〇〇三年十二月以来五年振りの出来事であった。しかし、労組は二%引き下げを要求した。今回の引き下げでもブラジルは、高金利の世界ランクで十二カ月連続、トップの座にある。
 政策金利からインフレを差し引いた実勢金利では、七・六%になる。二位はハンガリーの五・八%、三位がアルゼンチンの五・一%だ。
 通貨政策の柔軟性は、大統領自身が所望した。二〇〇九年に入って政策金利の引き下げ圧力は、デフレの兆候や経済の著しい落ち込みで、さらに強まった。ドル高によるインフレ懸念も、一月前半のIGP(総合物価指数)で葬られたからだ。
 注目が政策金利ばかりに行くが、メイレーレス中銀総裁がいうように銀行のスプレッドも視野の中に入れる必要があると、経済評論家のミング氏が警告する。
 スプレッドは部外者には馴染みのない取引だが、市場金利連動型融資で、その金利は税金や手数料、利ざやなどを上乗せした法外金利だ。
 スプレッドという市場で支払われる金利は、政策金利ではなく銀行が要求する金利なのだ。政策金利は常識の範囲で調節されるが、スプレッドは野放し状態。だから政策金利批判は、間違った標的に鉄砲を撃っているようなものといえる。
 政策金利が効果を発揮するのには、八カ月かかる。効果が出なければ、中銀の通貨政策が批判される。政策金利を〇・五%上下しただけで、景気や失業率に影響したと思われる。スプレッドの効果は即時、通貨政策に関係なく現れる。
 通貨政策批判の急先鋒とされる財務省は、スプレッドの元凶である銀行に囲まれている。その中心は、伯銀や連邦貯蓄銀行など銀行界の寡占政治を司り、政府の政策に非協力的な公立銀行だ。
 ミング氏は「スプレッドを抑制するなら、ルーラ大統領は財務相や中銀総裁に聞かなくても、公立銀行に行政介入すればよい」と提言する。公立銀行は、スプレッドという金儲けの道具を奪われる代償を国税庁に求める。