ニッケイ新聞 2009年1月21日付け
ルッピ労働相は十九日、十二月の解雇が採用を上回り、正規雇用数が六十五万四千九百四十六人減少し、月単位では一九九二年以後で最悪と発表したことを二十日付けエスタード紙が報じた。労相は労組代表らとルーラ大統領を訪ね、業種別部会を設置し、金融危機の影響度合いで対策を立案することにした。自動車産業にIPI(工業税)の減税措置を施したように、活性化策を講じる考えも選択肢にある。
雇用情勢の悪化で危機感を覚えた労相は大統領を訪ね、製造業の援護対策を進言した。〇八年末の正規雇用数は前年同期比で一〇・二%減となった。九月までは〇八年の雇用数が、前年を二百万上回ると楽観していた。
製造業の解雇は二十七万三千二百四十人、全体の四一・七%を占める。農業やサービス業でも雇用が大きく落ち込んだ。
製造業で現在厳しいのは輸入品と覇を競う靴やゴム製品、家具だ。政府は輸入制限を行ったが、効果はなかったようだ。十二月に雇用が増加する商業も、例年より一万五千人も少なかった。
一方、IPIを減税した自動車販売は一月前半、ほぼ昨年のレベルに回復し、自動車部門の解雇は下火になった。マンテガ財務相は泥縄であるが、ようやく政策金利の切り下げを中央銀行へ打診し、解雇の嵐を鎮めるため協議するらしい。
大統領は二十一日、公立銀行代表を集め、スプレッド(金利差)取引の抑制と金利の高騰回避を訴える。労組は中銀に、雇用情勢を視野に入れ、景気対策に、より柔軟な対処を要求する。中銀の独立権限には、大統領も手が出ないらしい。
労組は、失業保険の期限延長を要請した。現在は一般失業者には五カ月、特殊な場合七カ月。それを労組は十二カ月に延長を要求した。
労相がFAT(労働者支援基金)から二十九億七千七百万レアルの金融支援をサンパウロ州企業に供与したのに、解雇が相変わらず続くと抗議した。
サンパウロ州工業連盟(Fiesp)のスカフ会長が、その資金のためにいくらの高金利を払っているか計算したかと反論した。金利は金融危機後暴騰し、企業家は決済に苦しんでいるという。
ルーラ大統領は、最低賃金を四百十五レアルから四百六十五レアルへ二月からの引き上げを容認した。累積インフレ五・七%の上乗せで、庶民の懐が少し潤うようだ。また大手企業五十社を呼び出し、何故設備投資が少ないかを、大統領が問い質す意向だ。