サンパウロ州内高速道=モラル低下で種々の問題=月にトラック900台のゴミ=排水阻止に動物轢死など
ニッケイ新聞 2009年1月21日付け
「ちょっとだけ」とか「一人だけ」と、投げ捨てられるお菓子の袋や空き缶も、積もり積もれば山となり、サンパウロ州内の高速道(州道や国道)で出るゴミは、トラック九〇〇台/月にもなる。
十八日エスタード紙の報道だが、サンパウロ州公共運輸サービス規制機関(Artesp)によれば、休暇の時期はゴミの量が二〇%増える他、月平均一四七トンのゴミが出るアンシエッタ道やイミグランチス道では、ゴミの量が二年で三〇%増加という報告は、モラルの低下を反映したもの。
サンパウロ州内の高速道路を管理する一二企業の合計では、〇八年の高速道でのゴミの月間平均量は四〇六・八七トンと八三七四・五七立方メートル。ならすと、トラック九〇〇台分となるらしい。
これら一二企業の内、アンシエッタ道やイミグランチス道担当のEcoviasによると、ここ二年でゴミの中身は変化しており、壊れた家財道具など道路周辺の住民によるゴミが減り、車の利用者が捨てるゴミが増えているという。
これらのゴミに起因する問題の主なものは、排水機能低下や動物の轢死増加、経費の増大。
排水機能の低下は、排水溝の口をゴミが塞ぎ、集中豪雨時に路面が冠水など、通常の市街地でも起きる問題だが、高速道路では、ブレーキの効きが悪くなり、スリップも多発と、事故に直結する危険性がより高い。
また、Ecovias担当区域は、捨てられた食べ物の匂いに誘われて来る動物の轢死(八〇%は犬)も、〇六年の一二〇件が〇八年は一九〇件に増えている。
道路管理会社をさらに悩ませるのは、月々の経費の増大。毎日のゴミ収集に八〇人を擁するEcoviasで月三五万レアル、カステロ・ブランコやラポーゾ・タヴァーレスの清掃に六台のトラックと四八人の職員を投入するSPViasも月に七万レアルを要す。バンデイランテス道やアンニャングエラ道でも、トラック五台と五八人の職員が投入されている。
「市民としてのモラルの置き忘れ」による事故やゴミ回収問題回避は、一人一人の心掛けや家庭教育次第といえそうだ。