ニッケイ新聞 2009年1月20日付け
【熊本発】熊本県内の若手演劇人らで作る「劇団笠戸丸」(代表・山南純平代表)が、昨年のブラジル移民百年を記念して制作した「ボクノフルサト。」がサンパウロ市などで公演されることになり、練習に励んでいる。
公演は二月七日に弓場農場、十日にプロミッソン市立劇場、十三日にピラール・ド・スール日本語学校、十五日にはブラジル日本文化福祉協会。
劇団笠戸丸は、県内在住の大学生を中心に十八歳から五十八歳の十七人が参加。脚本は田中瞳さん(21歳)の書き下ろしで、第一回の移民船笠戸丸を率いた上塚周平(城南町出身)を中心に、ブラジルにかけた思い、航海中の出来事、そしてブラジルの台地で苦難を乗り換えながら生きていく姿を描きながら、それぞれ故郷とは何かを問う内容。
昨年四月に熊本市で上演した際、ニッケイ新聞社の高木ラウル社長、ブラジル・ニッポン移住者協会の小山昭朗さんらが見ていたことから、ブラジル公演の話が持ち上がった。
ブラジル公演は同新聞社などが会場の確保や交流会など受け入れを準備しているが、それでも団員の渡航費や現地での移動費などに七百万円ほどの費用がかかる。熊本の公益基金からの助成や団員個人の負担、さらに有志による募金活動などで捻出する計画。一月三十日には壮行会が予定されている。
ブラジルに出発する二月四日を目前に控え、団員らの練習にも熱が入っている。ブラジル公演に向け、台本を手直しして、より楽しめる舞台となっており、熊本市内の教会を借りての練習は本番さながら。
団員の多くはブラジルは初めてとあって、日に日に意欲が高まっている。山南さんは「ブラジル移民百年で集まった仲間たち。ブラジルで公演するなど夢にも思っていなかったが、多くの人の協力で実現できた。自分たちの演劇を通じて交流を深めてきたい」と話している。