ニッケイ新聞 2009年1月17日付け
新潟県が隔年で実施する農業青年交流事業で十一日、今年度の実習団五人(団長=菅原秀雄県地域振興部副部長)が来伯した。一行は十日間ブラジルに滞在し、サンパウロ、ベレン、ロンドリーナ、イグアスなどを視察する予定。着伯当日にサンパウロ市内のレストランで新潟県人会(柿嶋昭三会長)主催の歓迎会が開かれ、交流を深めた。
この事業は、新潟県地域振興局と同県人会の間で農業実習交流のため一九八八年に始まったもの。現在は一年おきに県人会と母県との間で実習生を派遣している。
日本からの実習団は、農業先進国のブラジルで大規模な経営法や世界最先端のバイオテクノロジーを学ぶのが主な目的。滞在中は県人会員宅にホームステイをし、花卉、野菜畑などで実習をする。
一行は十一日のブラジル到着後に開拓先没者慰霊碑を訪問。二十一日まで滞在し、十四日からベレンでバナナ畑や胡椒畑を見学、十七日にロンドリーナへ向かい、大規模農業を肌で感じてもらう予定だ。
県人会による歓迎会で柿嶋会長は、「健康第一にがんばり、ぜひ成果ある実習をしていただきたい」と一行を歓迎するとともに、「母県の文化交流に感謝し、良き後輩を育てて行きたい」とあいさつ。
菅原団長は「この実習が、中越地震で意気消沈し、復興をめざす新潟県民の励みになるような話題になると県知事は期待しておられます」と意気込みを語った。
その後、実習生一人一人があいさつ。宮内隆和さん(25、十日町市)は「農業大国で農業の最先端の経営意識を学び、日系人社会を築き上げた精神に触れたい。短い期間を充実させ、日本の農業ステイタスを向上させたい」と実習の抱負を語った。
「世界一の大豆生産を見、感じたい」と話す伊藤真さん(30、燕市)は、「日系一世、二世の苦労体験を聞きたいです。後輩にもブラジルに来てほしいです」と期待を表した。
白井健太郎さん(29、長岡市)は、「ブラジル移住で来られた先人の方々が辛酸をなめる苦労をした体験を今の日本の若者に伝えたい。父もブラジルに以前研修で訪れ、この事実に涙が溢れました」と話し、「アグロフォレストリー(混農林業)をブラジルで研修し、資源エネルギーやバイオエタノールについても学びたい」と抱負。
関洋海さん(34、南魚沼市)も、「見聞を広め、一世、二世の開拓精神を学びたいです」と実習に意欲旺盛だった。