ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ルーラ大統領=「第1四半期が正念場」=試合は先制攻撃で=失敗は社会秩序の崩壊へ=経済活性化の資金調達が鍵

ルーラ大統領=「第1四半期が正念場」=試合は先制攻撃で=失敗は社会秩序の崩壊へ=経済活性化の資金調達が鍵

ニッケイ新聞 2009年1月14日付け

 ルーラ大統領は十二日、〇九年第1四半期に金融危機の正念場、第一幕を迎えることで政府は雇用確保と生活安定のため先制攻撃に出る意向を表明と十三日付けエスタード紙が報じた。政府はPAC(経済活性化計画)と地域活性化を最優先事業とし、あらゆる手段を講じて資金を捻出し活動を停滞させることはないと声明を発表した。世界はいま、社会秩序崩壊の危機に脅かされていると大統領は述べた。
 靴と皮革製品の物産展開幕式に臨んだルーラ大統領は、金融危機の第一波到来が予想される〇九年第1四半期が危機克服の決定戦であるとの見通しを語った。ここで失敗すると、慢性的不況で悩まされることになる。
 サッカー好きの同大統領らしく、「ブラジルはしっかりと準備をしなくては。危機が終わった時、最も準備をしていた人が試合を決める」と大統領は例えた。
 次に地方自治体の公共事業への資金協力。それから民間の活力が重要。そのため政府が、BNDES(社会開発銀行)の資金力を強化する。
 新たな挑戦は、銀行のスプレッド(金利差)取引の抑制。銀行は自分の懐肥やしに熱中し、中小企業への融資を忘れた。銀行は初心へ戻り、本来の役目に専心する。
 PACは政府の目玉事業で、ロウセフ官房長官は大目付け。PACはブラジル発展のために、さらに大切な新事業へも手を広げる。政府は国債を発行して必要なだけ資金を調達すると、何度も繰り返して強調した。
 ルーラ大統領は世界的風潮として、解雇と失業がもたらす社会秩序の混乱を懸念している。金融危機の病根は深く、回復に長時間を要する。
 米発金融危機は全世界へ波及し、経済と社会秩序を崩壊しつつある。現行の金融システムは、汗を流さない多くの富豪を育て、他方で餓死線上の貧民を生み出す。
 「オバマ米大統領は特大の胡瓜(=ポ語俗語で〃問題〃の意)を抱えている」とルーラ大統領はいう。早急に問題解決を迫られている。伯米両国は第1四半期を目前に控え、事態は緊急を要する。経済には市場も重要であるが、堅牢な政権が先決だと大統領が持論を展開した。
 強いサッカー・チームは、よく訓練されたチームだという。ブラジル・チームは、均衡した財政収支や抑制されたインフレ、完熟した国内市場を育て、危機に備えて最も訓練された人材に溢れていると自己宣伝をした。