ニッケイ新聞 2009年1月14日付け
サンパウロ州内陸部のソロカバやアヴァレー地方の貯水池では、レジャーや観光面での需要拡大により水質が脅かされていると十三日付エスタード紙。取り上げられているのは、ソロカバ地方のイツパラランガやアヴァレー地方のジュルミリンなど、サンパウロ州有数の良質貯水池だ。
同紙によれば、非政府団体「SOSマッタ・アトランチカ」の環境学者が、「貯水池がこれほどまで脅かされたことはない」というほど深刻な、水辺への進出や環境破壊は、飽和状態となった海岸地方での生活や犯罪多発を嫌った人々が、閑静な内陸部の水辺へと押し寄せて来たことによる。
同地域での不動産会社による土地の分譲や建築開始は七〇年代からだが、現在の貯水池周辺開発は環境修復が不能となる寸前といわれるほど。
ソロカバ市やヴォトランチン市を含む地域の六三%の人々に水を提供しているイツパラランガ貯水池周辺は十年前に環境保護地域に指定されたが、貯水池周辺への人家や施設進出は指定後も進み、イビウナでは、違法分譲地からの汚水の垂れ流しも起きている。
また、高級コンドミニアムを含めた住居建設以外にも、環境許可もないリゾート用クラブやキャンプ場の開発、拡張工事による土砂の流入や、森林伐採などの問題も深刻。生活廃水流入で水草や藻がはびこり始めた所も出ているという。
これらの動きは、サンパウロ市周辺のビリングス湖やグアラピランガ貯水池周辺の開発や環境破壊と同じで、内陸部の貯水池がこれらの水源地と同じ運命を辿ることを懸念する州環境局は、調査や違法行為摘発に務めている。
ビリングス湖での生活廃水や土砂流入による水質低下や地形変化については九月二十五日付本紙既報だが、十二日エ紙にはビリングス湖周辺の違法侵入者撤去率低下の記事もあり、遅きに失しない対策が必要といえる。
サンパウロ州海岸部で生活廃水を未浄化のまま外海に排出する計画との十一日付アゴーラ紙記事や、工場排水垂れ流しで泡立つチエテ川、高濃度の重金属が含まれるリオ市の水路汚泥の報道など、快適さや簡便さだけを追求すれば将来は自分達の命を脅かすことにつながると思わされる報道も多い。