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民間年金基金=資金運用で200億レアルを失う=金融異変ここにも=09年経済不調なら掛金増額=世界で年金の夢が危機に

ニッケイ新聞 2009年1月13日付け

 資産四千百五十億レアルを運用するブラジルの民間年金基金が、金融危機で二百億レアルを損失していたことが判明と補足年金基金協会(Abrapp)が十日、明らかにしたと十二日付けエスタード紙が報じた。サンパウロ市証券取引所は二〇〇八年、平均株価指数を四一%下げた。同基金の投資金下げ幅は三%となったが、二〇〇九年の経済動向に同基金資産状態の浮沈がかかっているようだ。
 全伯には三百六十九基金があり、計二百万人が加入している。この民間年金基金に加盟しているのは二百六十七基金で、全伯基金の九九%を傘下におさめる。中でも大きいのは、Previ(ブラジル銀行の行員基金)とPetros(ペトロブラス職員の基金)、Funcef(連邦貯蓄銀行員の基金)の三つ。
 資金運用で赤字になるのは一九九五年以後初めて。〇七年には二五・九%増、〇六年は二三・五%増、〇五年は一九・1%増と順調に利益をあげていた。
 同年金基金のアントニオ・ジョルジ・ダ・クルス運用コーディネータは「基金の資産構成は磐石であり、資金は大手企業の資本に投下され、いつでも加入者の年金給付に応えられる状態になっている。だから、加入者が心配するほどではない」と釈明している。
 同基金は二〇〇三年から二〇〇七年までに、七百六十億レアルの運用益を計上した。二〇〇八年の損失二百億レアルを差し引いても、まだ十分な運用益が残る。米国で起きているような、楽しみの定年退職が先延べされることはないという。
 カルドーゾ政権のセシン元社会保障相は、二百億レアルの損失は、贅肉を少し落しただけという。それは基金が、株式で投資を行っているからだ。それが随時出入り自由な投資なら本格的だが、リスクを伴う。
 問題は二〇〇九年の経済情勢にかかるといえそうだ。〇八年の損失は引当金の増額には至らなかったが、〇九年の落ち込みが一〇%以上の損失を来たすなら、加入者に補給のため引当金の増額を乞うことになる。
 年金基金が証券市場で資金運用を行い、欠損を生じたのはブラジルだけではない。ラテン・アメリカの年金基金では、模範的運用と仰がれるチリでさえ〇八年一月から十月に、変動利つき信託投資で一五%を失った。チリでは、多くの加入者が豊かな老後を夢見て定年を先延べしたため、掛け金は膨れ上がっていた。