ニッケイ新聞 2009年1月13日付け
日本では「若い娘は箸が転んでも笑う」というが、ここブラジルでは電車の中で雨漏りすると、皆示し合わせたようにゲラゲラ笑う。しかし、その笑いは決して蔑むような感じではない。日本だと、笑うどころか即座に駅員に抗議するだろう。
それまで各自音楽を聴いたり、読書をしたりしていたのに、老いも若きもこの瞬間に居合わせたことを分かち合うかのごとく、顔を見合わせて笑っていた。
日本人の私は何がおかしいのか、場の雰囲気からは分からなかったが、つられて笑顔になった。
『ブラジルで雨が降ったらスターバックスを買え』というタイトルの経済本があるが、まさかコーヒー業界が潤うから笑っているのか。もちろん買うのは株のことだ。
これから雨の多い季節。豪快な笑顔が見られるのも悪くないが、それにしてもなぜみんなが笑うのか不思議だ。 (綾)