ニッケイ新聞 2009年1月9日付け
新潟県庁が現在検討している制度は興味深い。県費留学・研修生が帰伯した最初の一年間、彼らがする県人会内の活動を、県が費用を支援するものだ。その期間に留学生らが県人会活動になじみ、将来を担う人材になってくれることを願っている▼世代交代に関してはどの県人会も悩んでいる。せっかく母県の費用負担で留学・研修し、数カ月から一年間も過ごした経験のある子弟が通算何十人どころか百人以上もいるのに、残念ながら会活動に定着してくれない▼留学生の側からすれば、自分の仕事や家族のことに時間をとられ、会活動に参加できないという言い訳がある▼でも本音としては、県人会活動内容に面白みがないというか、自分たちの居場所が見つからないという部分もあるようだ。日本語だけの会議では若者は自由に発言できないし、同年代がある程度の人数いないと居づらいと感じる▼もし、新潟県の新制度が始まったとしても、受け皿となる県人会に、若者が参加して面白いと感じる活動内容がないと二年目からいなくなってしまう。一世の親睦団体としての行事だけでは、二~四世は喜ばない。県人会自体も、若者の受け皿となるような活動を始める必要がある▼では、若者がやりたい活動とは何か。彼ら自身にそれを提案させ、理事がそれを後押しするような取り組みが必要ではないか。例えば、一定金額を青年部に渡し、それで「母県をアピールすることなら何をしてもいい。何をどうやるかを自分たちで考えて」というのも一つの手だ▼このような制度が実現され、他県にも広がっていけば一つの解決策になるかもしれない。 (深)