国連の下部機構の一つである世界気象機関(WMO、本部ジュネーブ)が9日、世界全体の温室効果ガスの平均濃度が過去30年間で最も高い上昇率を記録し、海水の酸性化も進んでいると発表したと同日付伯字紙や各紙サイトが報じた。
WMOによれば、2013年の温室効果ガスの濃度は過去最高を更新、二酸化炭素は396・0ppm(ppmは100万分の1)となった。この値は2012年比2・9ppm上昇し、増加量は過去30年間で最多となった。二酸化炭素は産業革命前の1750年より142%増えている。他の温室効果ガスではメタンガスが253%増、一酸化窒素ガスも121%増となっている。
二酸化炭素は植物の光合成でも吸収され、海水にも4分の1が溶け込むが、その濃度が過去30年間で最高となる上昇を示した事は、植物による二酸化炭素の吸収率低下を意味するという。
海水は現在、1日に付き1人当たり4キロの二酸化炭素を吸収しているが、これにより懸念されるのは海水の酸性化だ。海水が酸性化すると海中の動植物の生態にも影響が及ぶ。また、海水がより酸性化している事は確かだが、あとどの位の量の二酸化炭素を吸収出来るのかは誰にもわからないのも気がかりだ。
温室効果ガスの濃度上昇は気温上昇にも結びつくため、地球温暖化や気候への影響を回避するには温室効果ガスの排出を大幅に減らす必要があるが、種々の利害関係が影響し、京都議定書後の温室効果ガス削減目標はまだ確定出来ていない。9日発表のデータは、米国ニューヨークで23日開催の国連機構サミットでも報告される。
ブラジルでは近年、水力発電所のダム貯水量低下で火力発電所の稼働率が上昇、アマゾンなどでの森林伐採や焼失が進む、車の増加で化石燃料多用などにより、温室効果ガス排出量が増えている。
一方、WMOは8日、太平洋赤道海域の海面水温がペルー沖で高まり、異常気象の原因ともなるエルニーニョ現象が今年11月~来年2月に発生する可能性は70%との予測を発表した。6月の発表では10~12月にエルニーニョが起きる可能性が75~80%だった。9~11月に発生の可能性は55~60%。
ブラジルアマゾンの場合、エルニーニョ現象が起きると内陸の気圧が下がって、大西洋からの温かく湿った空気が入り易くなるため、高温・多湿となり洪水も起き易いが、その他の地域では干ばつをもたらす可能性もある。
なお、ここ15年間の地球上の大気温がその前の15年間ほど上がっていないのは、地球温暖化に伴う熱エネルギーを海が吸収との仮説は、8月22日付フォーリャ紙(23日付弊紙サイト)に掲載されている。