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養子縁組統一台帳動き出す=今も根強い白人幼児希望=準備不足で養子返却の例も

ニッケイ新聞 2008年12月30日付け

 養子縁組を望む親と、養子として引取り可能な子供の情報を盛り込んだ全国版養子縁組台帳(CNA)が機能し始めているが、白人で三歳以下の子供への希望が根強く、養子縁組の後、養子を施設に送り返す例も多いことを伯字紙が報じた。
 二十四日フォーリャ紙によれば、四月に承認され、十二月完結といわれたCNAの登録で、養子縁組を望む親は一万二六八四人、養子縁組を望み、司法当局から養子に出すことが認められた子供は一八三二人。
 この数字は全国で八万以上といわれる養護施設収容者数からいくと極端に少ないが、これは養護施設にいる子供の多くに親や家族がいるため。但し、収容児の一〇%程度が養子縁組可能といわれていた数字からいけば、登録された子供の数は、予想をはるかに下回る。
 にも拘らず、子供の数の七倍にも及ぶ養子縁組希望者が希望通りの子供に出会える確立が低いのは、七〇%の親は白人の子供希望に対し、施設収容者の六六・五%は非白人。八〇・七%の親が三歳以下の子供を望むが、三歳以下の子供は七・六%。八六%の親は兄弟の引取りは望まないのに、七四%の子供は兄弟がいる、の様に、親の希望と子供の実態格差が縮まらないため。
 CNA作成以前は司法手続きの複雑さが養子縁組を困難にすると考えられていたのに対し、より大きな壁のあることが再確認され、養子縁組が成立しないまま施設収容年限の一八歳を過ぎ、独り立ちしなければならない子供も相当数いることを暗示した数字だが、養子縁組後、施設に送り返される子供の問題も深刻だ。
 二十七日エスタード紙によると、養子返却例は〇八年のリオ州だけで一四件。実子とケンカする養女を見て養女を施設に返そうとしたなど、子供を迎える親の側の準備不足が養子返却の理由の大半。何年も暮らしてからの養子縁組破棄もあるというが、対外的な見栄による養子縁組の場合はもっと悲惨だという。
 サンパウロ州では親が出す条件はずっと緩やかになっていると八月二十二日エスタード紙が報じたが、八月二十日承認の養子縁組法で規定された親向けの準備講座が機能し、傷を負っていることも多い子供達が、家族として愛され心から笑える家庭の増加が望まれている。