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サミットに向け伯EU協調=G20の主導権狙う=両国が共通の見解を認識=ルーラ政治を世界に紹介

ニッケイ新聞 2008年12月24日付け

 ルーラ大統領とEU議長国フランスのサルコジ大統領は二十二日、来年四月二日にロンドンで開かれるG20第二回会合(金融サミット)で協議される金融機関の管理システム改革に向け、協調して取り組むことを決めたと二十三日付けエスタード紙が報じた。オバマ新政権の米国へ圧力をかけるため、伯仏両国は共通の立場で次回サミットに臨む。大世帯のEU代表と新興国の雄ブラジルは、世界の重要事項を決定する国際フォーラムにおいて主導権を握る狙いらしい。
 先進国と新興国からなるG20サミットにおいて伯仏両国は、国際通貨基金(IMF)の役割や金融機関の管理システムについて共通の見解を有し協調することを決めた。
 伯仏同盟の基礎は固められた。金融システムの改革についてオバマ政権の代表が、往年の米主体の保守的な見解を述べる可能性があるからだ。四月二日のG20会議は、オバマ新大統領初めての多国間国際会議となる。
 ブラジルにとっては、米新政権に対するお披露目。ここでの立ち居振舞いが今後、ブラジルの分際を決める。ブラジルは先週、中南米カリブ首脳会議を召集し主導権を握り、米国に対する自主権を示威したばかり。
 この会談では、世界のマクロ経済政策と金融政策に関する国際的な対話をする「伯EU戦略提携プラン」を策定することが公表された。
 財界会議で仏大統領は「EUと米国は友好国かつ同盟国であるが、EUはEU独自の考えがあり、誤った行き方には反対する権利もある」と牽制した。これは米国の一方的な政策に、不服の意を表明したもの。
 ルーラ大統領は、現金融システムを構築したのと同じ考え方で、危機を解決するのは無理があると述べた。オバマ新政権は、人材不足のようだ。従来思考の対策では、効果が期待できない。
 金融危機の痛手は、発展途上ある新興国が被るような形にすべきでないと。ルーラ大統領は強調した。「危機の責任の六〇%以上は米国にあり、そこにオバマ新大統領は就任するのだ。株式市場の損失だけで三十一兆ドル、その救済に投じた公的資金は六千億ドルにもなるが、なんの反応も起きていない」と警鐘を鳴らした。
 仏大統領はブラジルの国連常任理事国入りを強く支持する発言をし、「世界新秩序にブラジルを送り込む。世界はルーラの政策が必要だ。二十一世紀は、二十世紀の政治ではダメなのだ」と喝破した。