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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年12月19日付け

 日本の不況で「来年七万人のデカセギが帰伯する」との説を聞いた。先日の文協評議員会でも「デカセギ帰国者へ支援検討」が決議された。問題は具体的な対策だ。おそらく日語中心のデカセギ子弟が大量帰伯した場合の受け皿が問題ではないか▼考えようによっては、これは好機だ。帰伯子弟をしっかりと受け入れブラジル教程に追いつかせ、日語能力を継続させれば、大量のバイリンガル世代が生まれる▼大志万学院、アルモニア学園、スザノ日伯学園などの幾つかの日系優秀校では二言語教育のノウハウがあると聞くが、費用の問題もあり、多くの帰伯子弟は公立校に編入するだろう▼そうなると、どこの学校に何人いるか分からなくなる。だが、ブラジル三井物産が協力、サンパウロ州教育局と教育文化連帯協会(イゼッキ)が提携して、六月からデカセギ帰国子弟向けの特別プロジェクトを始めた。これと連絡を密にすれば、州立校に関してはかなり把握できる▼公立校と提携し、日語中心の帰伯子弟を各地の日本語学校に紹介してもらえれば、バイリンガル教育に近い環境を整えることができる。最初は日本語学校で日本語の分かる二世教師がポ語の基礎を教え、次第に公立校の授業中心に移行していくのが理想的だろう▼加えてスザノ日伯学園のような日本文化教育に特色を持つ日系校を各地に増やして「日伯学園運動」にする大浦文雄さんのアイデアは秀逸だ。パラグアイだけでなくサンパウロ州各地でも、日会活性化と同校創立の経緯を聞く機会が設けられてもいい。大量帰伯が日会活性化と同学園運動の起爆剤になれば、まさに危機を好機に、だ。(深)