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ボリビア麻薬対策=ブラジルが米国に代わる=生産者の生活保障が先決

ニッケイ新聞 2008年12月18日付け

 ブラジル政府は十三日、ボリビア政府が米麻薬対策局(DEA)を追放したことで、米国に代わりボリビアの麻薬防止活動を支援する意向を表明と十四日付けエスタード紙が報じた。
 ボリビアのモラレス大統領は、米国の麻薬対策に代わる手段を導入することで苦慮していた。乱暴で問答無用な米国方式によらず、新たな播き付けや消毒を禁じ、生産者を転業させることで、麻薬栽培を減らして行くことを考えていた。
 しかし、それは麻薬栽培を看過し、生産増加とブラジルへの密輸につながると政府は見ている。米DEAは三十五年間にわたって麻薬栽培者や密売業者と戦い、三千二百万ドルを転業農家へ生活の手段として援助した。
 ジュングマン下議(PPS=社会人民党)は、治安関係と組織犯罪取締りの関係者を引き連れてボリビアを訪問し、ボリビア政府の麻薬対策が杜撰であり、麻薬業者の追放撲滅など期待できないことを見てきた。
 同下議は、ボリビア政府で手の回らない地方の栽培防止にブラジル政府による協力参加を申し出た。モラレス大統領は、ウナスル会議やリオ会議で麻薬防止政策の導入と基金創設を発表した。
 それに基づきジェンロ法相とボリビアのラダ法相が、麻薬防止協定を結んだ。その他にメルコスルや中南米会議でも同様の協定を締結する。
 しかし、ボリビアの麻薬防止対策は、他の国々が考えるものとは異なる。生産者の生活を優先し、麻薬に代わる生活手段の配慮から始める柔軟で寛容な方法である。
 ボリビア政府は麻薬対策に、ブラジルばかりでなくアルゼンチンやチリー、ペルーなどの協力を求めた。米国方式の援助資金で全て解決ではなく、生産者の生活手段の提供から始めるものだ。