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国家防衛審議会=防衛戦略構想を発表=NPT不参加の核開発へ

ニッケイ新聞 2008年12月13日付け

 昨年、大統領直属の諮問機関として設置された国家防衛審議会は十一日、外務省の核利用方針とは異なる形で、国家防衛戦略構想を満場一致で承認と十二日付けエスタード紙が報じた。ただし、他伯字紙は構想全体を報じており、論調がだいぶ異なる。
 国防省と作戦戦略省が共同で作成した構想内容に関するエスタード紙報道によれば、ブラジルは核不拡散条約(NPT)に不参加となっている。同条約が規定した核開発の範囲や制限、条約の中心議題ともいうべき核実験、核廃棄の協定にも応じないようだ。
 同構想は、ブラジルには、核エネルギーを開発し、技術を向上する権利があり、技術開発の道が開かれていると明記している。核開発は平和目的だけに限るが、独自に開発した技術を保護する戦略の必要があるという。
 グローボ・サイト十一日付けによれば、フランスから導入する予定の原子力潜水艦技術などに関する記述もあるという。同構想の一般公開は十八日、プラナウト宮で行う予定となっている。
 外務省は公文書化に先立ち、原文から「陸軍による核の使用可能性」という部分を削除した。この表現は非限定性と不確定性とで、ブラジルにとって微妙なリスクを伴う解釈をされるからだ。
 アマゾナス州の領土監視や国家主権の保護では、陸軍と軍事産業、陸軍政策部の三者合体で、装備近代化と国土防衛、核の必要性を論じる。これまでは、陸軍の主力は南東部と南部に、海軍はリオに、空軍はサンジョゼ・ドス・カンポスに集中するなど、偏在していた。そのために、北部と西部、南大西洋がお留守になっていたため、昨年審議会が創設され、国土防衛構想案作成を委託されていた。この構想は来年、連邦議会で審議される予定。