ニッケイ新聞 2008年12月13日付け
麻生太郎首相の人気がどうも低い。新聞社などの世論調査だと20%と少しであり、政治的な常識からすれば「危機」の状況である。漢字の読み違いから福岡県にある実家の敷地が後楽園球場の2倍とか3倍とかの下世話な記事による影響もあるのだろうが、もしかすると、解散と総選挙を早め総辞職もありうる▼民主党の小沢代表が麻生政権に反対なのは当然としても、自民党にも中川秀直元幹事長や小池百合子氏らが反旗?を翻しているのも大きい。今、政治の舵取りは難しい。世界的な金融危機があるし、ブッシュ政権と民主党はビッグ3支援を決めようとしているが、上院の共和党が反対しているしー。麻生首相らの給付金政策にしても、本当に経済的な苦しさから脱出できのかはいくつもの疑問が残る▼2兆円の予算を国民に配り景気の上昇をの狙いだけれども、果たして効果が期待できるのか?である。これには小渕恵三内閣のときに公明党の主張かで3000億円を老人などに投じ話題になったが、不況から逃れるには遠かった。従って「天下の愚策」と非難する向きもいるし、麻生内閣の前途には艱難辛苦が待ち構えている▼それにしても、麻生首相の祖父・ワンマン宰相の吉田茂も、新聞には叩かれぱなっしで怒り狂った吉田さんはコップの水を投げつけたのエピソードが今に伝わる。引退してからは名総理大臣の褒め言葉ばかりになり、評判の良くない安保改定の岸信介も今や名政治家である。麻生さんも、ここは歯を食い縛るべきだろうが、あるいは総選挙で自民が敗北して政界の大転回が起こるかもしれない。 (遯)