ニッケイ新聞 2008年12月12日付け
財務省は十日、中流階級の所得税(個人)で税率見直しを行い、消費を促進する意向を明らかにしたと十一日付けエスタード紙が報じた。同案は十一日、金融危機対策の一環としてルーラ大統領へ提案し公表する予定。
給与所得者への恩典の他、個人や法人に対する金融税(IOF)とメーカーに対する工業税(IPI)の減税も検討する。特に自動車産業の保護は、政府の主要政策となっている。
同案の立案に当たりネックとなったのは、〇九年度税収の落ち込み予想だ。政府としては消費促進といっても限度があり、百五十億レアルまでと見ている。現行税率の一五%と二七・五%に加え、一〇%と二五%の税率適用を考えているようだ。
現行法では、所得を三種類に分けている。月間所得千三百七十二レアルまでは免税。二千七百四十三レアル以下は、一五%課税。二千七百四十三レアル以上は二七・五%課税。これを四つの税率適用に変更することで、年間千レアル以上の節税となる人も出て来るという。
同案にはさらに、失業保険の期限延長や簡易住宅の購入プランを含めるよう、労組や商業連盟から要求が出た。同案が効を奏するのは、〇九年十月という見方が多い。
税務関係者は、所得税減税による消費促進効果を疑問視する。例えばIPIの減税が全工程に適用されるのか、最終工程だけなのか。IPI減税が、PISやCofins、CSLLにも適用されれば、より効果があると関係者がいう。
トレヴィサン・ビジネス校のレイテ教授の見解では「中流階級を消費刺激の窓口に使い、経済成長の牽引にする考え方は正解。諸対策案は〇九年の経済を活性化させる効果がある。高額所得者には税率を三五%にして、ブラジルの雇用創出と所得向上に利用すべきだ」と同教授が提案した。