ニッケイ新聞 2008年12月4日付け
社会開発銀行(BNDES)が南米諸国へ供与した借款を不満とする動きがあることで政府は二日、背景の見直しを行う意向と三日付けエスタード紙が報じた。エクアドルのように前相談もなく国際仲介機関に直接異議申し立てを行うなど、借款享受国の態度豹変について事情調査することになった。これまでの経緯から、外交的配慮には限度があることをブラジル外務省は享受国に示威する、と表明した。
ジュネーブ滞在中のアモリン外相は、国際機関の場で反旗を翻す近隣諸国に対し、忌憚なく批判した。「金融危機で融資が枯渇する折、誰かが資金を提供し自国産業の発展が可能だと思っているのか。ブラジルの借款供与を、植民地主義と理解するのは愚かだ」と。
エクアドル政府は九月、オデブレヒト建設会社の発電所建設契約に供与したBNDES借款に対し決済拒否を表明、外交問題にまで発展した。それに対し、ベネズエラやボリビア、パラグアイが国際監査による事実解明を求めた。
エクアドルが国際仲裁機関で勝訴を得れば、これら諸国も「ブラジル恐れるに足らず」と異議申し立てを行う心算であったようだ。ここでエクアドルのゴネ勝ちが成功すれば、全員が踏み倒す魂胆は見えていた。
BNDESは近年、政府の南米統合計画(Aladi)に沿って借款供与を行った。南米諸国への融資は、輸出金融だけで二十五億ドルだ。
決済拒否は策略や脅しと採らずに、借款の存在を確認させればよいと外務省は見ている。それにより、南米諸国は借款で発展する国か、踏み倒ししかできない国かを判断することができる。
借款の決済には、政治解決の方法もある。共同市場成立のためのラテンアメリカ統合連合(Aladi)が設定された背景に、CCR(相互決済協定)がある。政府が借款を決済しないなら、中央銀行が代わって決済する保証協定がある。
CCRが機能しないなら、Aladi諸国は経済発展の保険を失う。これは契約書に効力が無いことを意味し、世界から相手にされない。
もう一つの問題は、亜国だ。亜製自動車の輸出特典、ブラジル製電子製品の輸入制限。亜国に対してブラジルは、特別待遇で処してきた。それが最近、世界貿易機関(WTO)でブラジルの悲願とするドーハ・ラウンドの締結に反旗を翻した。