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不況がブラジルに上陸=国民は所得低下に備える

ニッケイ新聞 2008年12月4日付け

 IBGE(ブラジル地理統計院)が二日、十月の工業生産は前月比一・七%減と発表したことを三日付けエスタード紙が報じた。十月の工業生産は予想を下回り、第4四半期の業績に急ブレーキがかかりそうだと、経済評論家のミング氏が次のように予測をした
 景気回復がないならば、〇九年の工業成長率は三%を切る可能性がある。操短や集団休暇の報道は、ブラジルの工業部門がぬかるみにはまったことを意味している。
 二十七工業部門のうち十五部門が生産の前月比減を公表し、落ち込みが金融危機の影響を直接受ける耐久消費財だけではないことを物語っている。機械や化学などの中間財や繊維や食品などの非耐久財、資本財の生産部門をも巻き込んだ。
 政府は問題がクレジットの枯渇にあると見て、耐久消費財のローンに資金を注いだ。しかし、これは見当違いだ。工業生産の落ち込みには、三つの要因がある。
 第一は、自動車が飽和状態にある。自動車はしばらく、買い替えはない。第二は、消費者がグローバル不況を警戒して財布のヒモを締める。ルーラ大統領が期待するほど国民は浪費しない。消費者は先進国の不景気と輸出の停滞で、失業や収入の低下は避けられないと考えている。
 第三は、金融市場の暴落で多くの投資家が、財産を減らしたこと。中産階級が見栄を張ることを止め、夢から覚めた。先進国のリセッションが、ブラジルに上陸したことを認めねばならない。
 〇九年の経済予測は、多くのアナリストが目論むプロジェクトをくつがえす。税収は大きく落ち込み、政治的圧力は政府を執拗に圧迫する中、どんな経済政策を打ち出すかが関心事だ。