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ルーラ大統領=「解雇が嫌なら消費せよ」=消費者の不安高まる中で=減産、休暇の報道も増加

ニッケイ新聞 2008年11月27日付け

 経済の先行き不安が高まり、生活の中で金融危機を実感し始めた消費者の信頼感指数も低下している中、ルーラ大統領が、「解雇が嫌なら消費せよ」と発言と二十六日付アゴーラ紙が報じた。
 大統領の論理では、消費が落ち込めば需要も減り、減産から雇用削減につながるから、解雇を恐れての消費差し控えは自分の首を絞めることになるというのだが、肝心の消費者は楽観的な展望を持てないのが現実だ。
 消費者の心中は消費者信頼感指数(ICC)の変化にも出ているが、二十六日付アゴーラ紙やフォーリャ紙によれば、十月に一〇%低下し一〇一・一となったICCが十一月には九六・九。一〇〇がニュートラルのICCは、二〇〇に近いほど楽観的傾向となる。
 これを裏付けるように、工業界も、十月に自動車製造業で集団休暇や生産調整開始他、十月三十一日にValeが鉄鉱石などの減産発表。十五日付本紙既報のように、サンパウロ州製造業界で一万人解雇他、建設業界で解雇開始とは六日付フォーリャ紙。パラナ州自動車部品業界の減産や集団休暇発表後、サンパウロ州自動車部品業界も、十月の八〇〇人に加え、内陸部六社が数週間で二一〇〇人解雇との報道や、鉄鋼業界のゲルダウやアセロル・ミッタルも減産発表、自動車業界の集団休暇増、と二十六日付エスタード紙やアゴーラ紙など、労働者が不安になるのに十分な量の情報も流れている。
 二十六日伯字紙には、上昇が続く個人向け融資の年利が五四・八%に達した十月は新規の融資契約が三%減少とあり、購買力縮小が表面化している。この数字に金利と消費の関係を認めざるを得なくなった大統領の、「消費を妨げる高金利は不当だ」との声が、経済政策に反映され、ICCも回復するのは来年以降になりそうだ。