ニッケイ新聞 2008年11月25日付け
政府は二十四日、新たな金融救済法を巡って閣僚会議を開いたと二十四日付けエスタード紙が報じた。緊急対策を要するのは、苦境下にある農業や自動車産業、建設業への金融税(IOF)の削減、PAC(経済活性化計画)の資金調達など。さらに国民に消費を奨励し生産を振興、投資を促進させる。政府の予測では歳入が八十億レアル以上減収する二〇〇九年に本格的な経済混乱が表面化すると見ている。
閣僚会議は、本格的な混乱が予想される二〇〇九年の準備作戦。ルーラ大統領にとっては、最後の仕上げとなる二年で有終の美を飾りたいところ。PACは二〇一〇年までに、二千億レアルを投下したいところだ。
二〇〇九年の国庫は八十億レアルの減収予想だが、経済成長率は四%を達成したいと大統領は願っている。そのため閣僚に全ての知恵を絞って、危機克服策を献じるよう命令した。
先立つ投資を維持するため、渾身の努力が求められる。社会開発銀行(BNDES)のコウチニョ総裁は、〇八年一六%の投資水準を保ったことで、〇九年は最低一〇%を維持目標とした。
BNDES向け政府予算の他に議会が承認すれば、ソブリン・ファンド(FSB)が設定され、百四十億レアルが増資される予定。同ファンドは、低調経済が予想されるときに起用する趣旨だ。
ロウセフ官房長官にとって、PACは始動した公共工事ばかりでなく、鳴り物入りで騒がれながら長年、机の引出しに眠っている計画多数が気になっている。
ムッシオ憲政相は、議会対策で大統領から厳しい役目を課せられた。議員お手盛りの十二億レアルを、経済スタッフと折衝の上用立てた。これは政府が、連立党をあやすなけなしの金。
ステファネス農業相とジョルジェ産業開発相には、危機発生後における国際経済の動きとG20の動向判断書提出を大統領が求めた。ブラジルは同会議で、新興国の発言考慮を求めたからだ。
ルーラ大統領は年の瀬を迎え、金融危機の余波が油断ならないものと見ている。ブラジルへの影響は〇八年、金融とそれに関連した分野に留まった。しかし、〇九年は農工業や建設、商業を荒波が襲うと見ている。