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最高裁=理由なき党移籍は議席はく奪=党籍取引に厳罰を=政治倫理が俎上に上がる=離党即はく奪に疑問の声も

ニッケイ新聞 2008年11月14日付け

 最高裁は十二日、国会議員や州議員、市議の議席は党に属するとする選挙高等裁(TSE)の決議を審理、下議が〇七年三月二十七日以後、上議は同年十月十六日以後、正当な理由なしに党を離脱する場合、議席を党へ返却すべきだと表決したことを十三日付けフォーリャ紙が報じた。しかし、TSE決議は、議会が議席に関する規則を設定するまでの暫定措置とした。
 最高裁は、党に不忠実な議員の議席はく奪の合憲性を審理し、賛成九、反対二で表決した上、議会が議員の党間遍歴に関する規則を設定するまで、TSE決議を有効とする判断を下した。
 これはDEM(民主党)が〇七年三月二十七日、党への忠誠心について質問し、同年十月四日に、議員の議席は党に属するとする回答を得たことを反映したもので、党移籍は議席はく奪につながることが公となった。
 議員の党移籍に関する国会決議が不在のため、移籍による議席はく奪決定は、引き続きTSEが行う。手続きは党執行部代行人と検察庁が、不忠議員に対する処分法を本人へ打診する。
 最高裁判決を不満としてソウザ検事総長とPSC(キリスト教社会党)は、議席のはく奪が国会の領域に属するとして控訴した。しかし、控訴は棄却された。
 最高裁のメンデス長官は、TSE決議を国会審議の補足的なものと位置付け、国会が法令を制定すれば、その中に包含されるという。国会が党移籍を放置するなら、最高裁が手綱を締めることがあると牽制した。
 TSEのブリット裁判長は、決議の必然効力を強調した。議員が他党籍を容易に入手できるものとして軽んじるなら、TSEには権威があり決議がものをいうと警告。
 反対票を投じたグロウ判事は、TSE決議を連邦令の誇張解釈とした。メーロ判事は、党移籍即議席はく奪に疑問を呈した。移籍とはく奪は、別件として規則を設けるべきだと主張。
 これまで議会で、党への不忠誠で議席をはく奪された者はいなかった。今回、最高裁はワルテル・ブリット・ネット下議(PRB―PB)のはく奪を決めたが、同様の案件が連邦下議で四件、州議や市議で二千件近くある。
 TSE決議ではく奪対象となるが、最高裁判決を待って保留となっていたケースは多い。それが今度、TSE決議を尊重するという最高裁判決が下ったのだ。