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サンパウロ市の州立校で生徒暴動=窓や戸破壊し無政府状態=86%の学校で暴力ありとも

ニッケイ新聞 2008年11月14日付け

 サンパウロ市東部の州立校で十二日、生徒達が破壊行為に走り、校内は一時無政府状態となった、と十三日伯字紙が報じた。
 事件の発生は午前九時半頃。タツアペの少年院に程近く、約百年の伝統校でありながら、毎日のようにケンカが起こり、生徒数も減少し続けているという州立校は、アマデウ・アマラウ校だ。
 破壊行為そのものは、全校生徒二七七人中、約三〇人によるものらしいが、窓ガラスは割る、扉は壊す、屋上に登る、屋根を剥がす、壊した窓から椅子や机を放り出すといった有様。教師達も、職員にこもったり教室に閉じ込められたりで、一時は完全に無政府状態に陥り、恐怖のために、失神したり吐いたりした教師や生徒も出たという。
 エスタード紙によると、「第一コマンド」の異名を持つ学生グループもある同校では、ケンカや破壊行為は日常の事。品行に問題があり遠足参加を禁じられた生徒が教頭を囲み暴言を吐く、長時間の授業が苦痛となった学生が放火を企て休講となる、何が飛んで来るかわからないから塀の側に車は止められないなどの話は、ほんの一端だ。
 校内は週内の学校閉鎖が必要となるほど破壊され、警官隊の介入で十二時頃やっと鎮圧されたという今回の事件。一五歳と一八歳の女子生徒のケンカが引き金との見方と共に、遠足参加禁止となった生徒の報復行為との見方もある。無力感や絶望感の只中にいる教師達は、緊急の職員会議を収集する予定だという。
 今回の事件で表面化したのは、校内の統制欠如と共に、教師や公的機関への敬意の無さ。フォーリャ紙によれば、二〇〇七年にはサンパウロ州内の公立校の八六%で何らかの暴力事件が発生しており、何らかの暴力行為を経験した教師が八七%という二〇〇六年の調査結果と類似。暴力事件の九六%は暴言で、八八・五%は破壊行為。身体への暴行八二%、盗難七六%の他、銃器類を使った強盗や殺人も九%と七%あった。
 事件現場では、失神した十歳の妹を助けようとして走っていた十三歳の女子生徒まで殴るなど、警官による生徒への暴行もあったというが、集団破壊行為が起きた学校では無差別な力の行使は容認されるのだろうか。教育、指導は懲罰に勝るとの教育家の言葉が、空虚に響きかねないほど深刻化した教育現場や周囲の様子の一端が窺われる。

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