ボツカツ=犯行グループ警察署襲う=麻薬や銃器奪い建物爆破=警備薄い週明けの未明に
ニッケイ新聞 2008年11月12日付け
サンパウロ州内陸部ボツカツで十日未明、約八人の犯行グループが市警の麻薬担当署を襲い、麻薬や銃器略奪後、放火に爆破と十一日付伯字紙が報じた。
四時半過ぎに軽トラックで現場に到着した犯行グループは、警報システムを遮断し、錠前を壊して構内侵入。一五分程度で、建物奥にあった金庫を破壊し、金庫内の麻薬と銃器を略奪し、もう一つの金庫をそのまま搬出後、建物最前部と最後部に爆発物を仕掛けた上、ガソリンを撒いて放火し逃走。隣人が爆発音で目覚めたのが四時五十分というが、この放火と爆発で同署保管の供述書や調書類は焼失し、市が借りていた建物が崩壊。裏にあった警察車両二台も崩れた瓦礫で破損し、隣の民家にも被害が及んだ。
犯人らが持ち去ったとされる麻薬は、フォーリャ紙が、大麻七三キロ、コカイン一五キロ、クラッキ一六キロと報じる一方、エスタード紙では、大麻一〇〇キロ、六キロの純コカイン、二〇キロの未精製のコカインと報じるなど、正確な量が掴めていない状況だ。
銃器類については、麻薬密売者から押収していた機関銃などが約五〇点あった他、警官用の機関銃や小銃などが約一〇点、催涙ガス弾三〇発と報じられている。
アゴーラ紙によると、他紙も報じた軽トラックの他に、白いGOL一台と車種不明の黒い車一台も目撃されたという。
警察当局では、同署摘発の麻薬密売者関連の犯行グループが麻薬や銃器の奪還と報復を目的とした襲撃と見ているが、軽トラックは一方通行の道路を暫く逆行しており、犯人は市外の人間と見られると十一日付G1サイト。他方、警察署が週末などは閉鎖され、警備員もいないことや内部構造を知る地元の人間関与の可能性も残っている。
リオ市では十一日、市内二カ所の麻薬密売者摘発で死者も出たというが、ボツカツの襲撃犯の出所や逃走先は未特定。
十一日付フォーリャ紙は警察が押収した麻薬や銃器類の安全な管理は全国的な課題と報道。犯罪組織が警察と同じタイプの銃器を使用している原因の一つは、警察による麻薬や銃器類の管理体制不備といわれそうな事件の後、ボツカツでは十一日朝、崩壊家屋の取り壊し作業も始まった。麻薬担当の新署は警備体制の整った警察署に隣接させることも必要だ。