ニッケイ新聞 2008年11月11日付け
今年結婚六十年のダイヤモンド婚式を迎えたサンパウロ州パウリスタ線ドラセーナ在住の藤原宝造さん(84、岡山県出身)、カズ子さん(81、広島県出身)夫妻がこのほど、先月子ども達や親戚に開いてもらった祝賀会で寄せられた食料品、総計六百八十キロを、援協経営の精神障害者リハビリ施設・やすらぎホームに寄付した。
寄付したのは、ブラジル米二百三十二キロ、日本米七十キロ、砂糖八十八キロ、麺五十キロ、フェイジョン四十七キロ、植物油八十四リットル、その他ビスケットなど。
援協関係者によれば、佐々木義雄同ホーム長は「私達のホームでは、経済的な理由で三分の一にあたる人を無料で受け付けているため赤字経営です。こうした形で食料品の寄付を頂くのは初めて。この寄付はホームにとって大きな援助です」と夫婦の気持ちに大変感謝した。
夫妻は四八年、ツッパン管内のバンデイランテス植民地で知り合い、結婚。二年後にドラセーナ管内のモンテイロ・ロバート植民地に移転し、現在まで同地で農業を続けている。
移転後の植民地には四十数家族ほどの日系人がおり、宝造さんは青年のリーダーとして活躍した。この地の日本人会の結成に中心的な役割を果たし、会長も務めた。
当時、ドラセーナ管内には十五ほどの植民地があり、コーヒーの産地だった。宝造さんはコーヒーの全盛時代に他の永年作物としてゴムを植え、農業収入の安定化を図ったという。
援協の具志堅信茂事務局長は「金婚式をあげる人は多いが、ダイヤモンド婚式をあげる人は少ない。日系社会の福祉のために温かい援助を頂きありがたい限り」と感謝している。